こんにちは。ケンスケです。
戦国時代の小説を読んでいるとよく出てくる武将。
京極高次
柴田勝家
福島正則
名前は知っているけれど、実はあんまり詳しくない・・・。
よく知らないから好きでも嫌いでもないっていうところでしょうか。
今回はそんな3人が主役になっている小説。
【神君家康の密書】 加藤廣 著
を紹介します。
『時代に翻弄された武将たちの素顔。小説【神君家康の密書】はおもしろい!』
〇京極高次って誰?どんな人?
〇柴田勝家。怖そうだけど本当はどんな人?
〇関ケ原で戦った福島正則はその後どうなった?
〇加藤廣戦国ワールドファン。
〇「本能寺三部作」にもっと詳しくなりたい!
〇時代に翻弄された大名たちをみてみたい!
〇戦国時代をもっともっと詳しくなりたい!
三作の中編小説からなる作品
今回、主役となる武将は三人。
京極高次
柴田勝家
福島正則
戦国時代に詳しい方はご存知かもしれません。
ただ、私は名前は知っていたのですが、詳しい経歴やどんな人物かはよく分かっていませんでした。
実はこの三人。時代の主役にはなれなかったけれど、天下の行方を左右した人物たちなんです。
詳しくは本作品にて読んでいただきたいのですが、この三人の行動が天下を誰に委ねるかを動かしていたのです。
京極高次と福島正則は「関ケ原の戦い」において、重要な役割を果たしています。
柴田勝家は、光秀を倒した秀吉と「賤ケ岳の戦い」において、天下分け目の戦いを演じています。
「関ケ原の戦い」、「賤ケ岳の戦い」どちらも実は戦力的には均衡していて、どちらに転んでいてもおかしくはなかったのです。
何が勝敗を分けたのか?
勝敗を分けた要因を分析しながら、三人の大名たちの本当の姿を描いています。
とくに第2章の柴田勝家の物語は、茶器に焦点を当てながらも勝家の人物像を魅力的に描いています。
多くの小説では、粗暴で傲慢なイメージで描かれがちな勝家ですが、この小説ではどんな風に描かれているのでしょうか?
三作品ともハズレなし!お楽しみです。
『蛍大名の変身』
「蛍大名」といわれた京極高次の物語です。
京極高次は、浅井家の出身。
おもしろい経歴の持ち主です。
浅井長政の姉の長男です。高次の幼いころは織田家と浅井家は同盟関係にありました。
しかし!
「姉川の戦い」で浅井長政が信長を裏切ります。
その後、織田信長に浅井家が滅ぼされると人質として織田家に預けられます。
このときに浅井長政の子供たち、茶々・初・江と交流をもちます。実際はいとこ同士ですね。
「本能寺の変」で光秀が信長を討つと、妹・龍子の嫁ぎ先が光秀につきます。高次もその縁で光秀に味方することになるのですが・・・。
今度は!
「山崎の戦い」で秀吉が光秀を倒します。
となると、高次の立場も危ういものとなりそうですが、次は自身の義理の叔母であるお市のいる柴田勝家を頼ります。
またまた!
「賤ケ岳の戦い」で秀吉が柴田勝家を破ります。
こうなると、またもや高次も秀吉に追われることになりそうですが、高次の妹・龍子が秀吉の側室になることに。
龍子は秀吉の側室のなかでも特別な存在になったことで、高次も許され、近江の国の大名になったのです。
そんなこんなで、晴れて大名の地位を取り戻した京極高次。
物語は豊臣政権内での微妙な血縁関係と、幼いころからのある人への思いの間で苦悩する京極高次を描いていきます。
京極高次の複雑な生い立ちと血縁関係が主題となったこの作品のクライマックスは「関ケ原の戦い」へ。
血縁・利害・家の存続・自分の思い・・・。
さまざまな要素を加味しながら、京極高次の生き方がおもしろい作品です。
『冥土の茶席 井戸茶碗「柴田」由来記』
↑写真は本物ではありません!
この章の主役は、高麗茶碗の「柴田」。
もとは、博多の商人・今井宗室が織田信長に贈った茶器です。
この「柴田」にスポットを当てながら、本当の主役である柴田勝家の人柄を映し出す物語です。
柴田勝家は、織田信長の父・織田信秀の代から仕えている人物。
織田信秀の死後、勝家は織田家の後継争いで弟・信勝(信行)を推して信長と対立した過去があります。
その影響もあったのか、織田家での出世争いで秀吉・光秀さらには外様の荒木村重の後塵を拝していた柴田勝家。
その後の活躍は、物語で読んでいただきたいのですが、この作品を読んで私の柴田勝家の印象は大きく変わりました。
多くの小説で柴田勝家は、秀吉にことごとく対抗して嫌がらせをしていたイメージでした。
性格も粗暴で、勇猛な武将。という印象が強いですよね。
「本能寺の変」後、清須会議で秀吉の推す三法師(信長の孫)を後継にすることを認める代わりに、信長の妹・市を妻とすることになります。
これも、自分の欲を優先させているようであまりいい印象をもてませんでした。
でも、この短編小説を読むとそんな印象がずいぶんと変わります。
主君に忠実。
潔い。
相手を思いやる。
これが作品を読んだ後の柴田勝家のイメージです。
ずいぶん変わったと思いませんか?
この作品でも加藤廣の戦国ワールドが全開です。
信長が持っていたはずの高麗茶碗「柴田」の行く末にも注目して読んでみてくださいね!
『神君家康の密書』
↑福島正則が任された広島城
この作品も非常におもしろい!
主役は、秀吉子飼いの大名・福島正則。とその叔父・丹波守。
物語は、秀吉が没してからのお話です。
福島正則は、秀吉が大名になったころからの豊臣家の家臣。
秀吉とも遠いですが血縁がありました。
福島正則のイメージは、
勇猛な豪傑。
大酒飲み。
こ~んな感じでしたね。
で、この作品の特徴は、家康の狡猾さ(ずるがしこい)がすごいこと!
政権を握るために手段を選ばない家康の行動が全開の小説です。
狡猾な家康と本多正純(家康の家臣)に、うまく使われた秀吉恩顧の武将たち。
これに対抗しようとした福島正則と叔父であり家老である丹波守。
どんな手段で対抗したのか。
これも本作を読んでお楽しみください。
そして、この短編を読了後に手にとってほしい小説があるんです!
【家康に訊け】
この中に収録されている作品。
『宇都宮城血風録』
この作品は短編『神君家康の密書』の続編ともいえる小説です。
忍者が出てきたり、伝説の剣士が出てきたり、雑賀衆のスナイパーが出てきたりのおもしろいエンターテイメント小説になっています。
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この作品もぜひぜひ合わせて読んでほしい作品です。
さらに!この続・続編ともいえる小説【秘録 島原の乱】もおもしろいので読んでほしい小説です。
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最後に。
加藤廣の戦国時代小説は、主幹を長編小説「本能寺三部作」である【信長の棺】【秀吉の枷】【明智左馬助の恋】が担っています。
それを補完したり、深みを与えるように短編小説が展開されているんです。
もちろん単体で読んでも歴史好きの人なら充分に楽しめます。ですが、歴史にあまり詳しくない方は、「本能寺三部作」を先に読んでからの方がいいかもしれませんね。
なぜかというと、政権が信長・光秀・秀吉・家康とめまぐるしく変化する中で武将の関係や大名の情勢がずいぶん変わってくるからです。
その変化は長編小説である「本能寺三部作」で読んだ方が分かりやすいのです。
そのあとに、いくつかある短編小説を読むことでキャラクター設定のおもしろさ、何気ないエピソードが際立ってくるように思います。
加藤廣の戦国ワールドは、キャラクターの性格や出来事が一貫されていてひとつ読むと次々に読めてしまいます。
読書が苦手な方でも非常に読みやすい作りになっているので、ぜひ読んでみてほしい作品です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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