【一刀斎夢録】感動!新選組・斎藤一が生かそうとした男とは!

こんにちは。ケンスケです。

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浅田次郎の新選組三部作をご存知ですか?

【壬生義士伝】
【輪違屋糸里】
【一刀斎夢録】

どれもおもしろいんです。

新選組の物語を描いているんだけれども、

幕末に必死に生きた人々

を映し出しています。

江戸の幕末から明治維新にかけて、時代はめまぐるしく変化していきます。

そこで、現代では絶滅してしまった

『武士』

見栄っ張りで、格好つけたがり。

「武士は食わねど高楊枝」

なんて言葉もありますね。

そんな武士たちが大事にしてきたもの。
守らなければいけなかったもの。

いろいろと考えさせる作品になっています。

今回は、

【一刀斎夢録】

をご紹介します。


『【一刀斎夢録】感動!新選組・斎藤一が生かそうとした男とは!』

こんな方におすすめです!
〇新選組三番組長・斎藤一が好き。
〇新選組ファン
〇新選組の生き残り隊士の生き方が知りたい。
〇明治維新後の武士たちの姿。
〇浅田次郎版「新選組三部作」を読んでいる方。
〇幕末歴史ファン
〇市村鉄之助のその後が知りたい!
〇西南戦争を知りたい!
〇戊辰を生きた武士の姿。

【一刀斎夢録】はどんな小説?

 

剣道

『斎藤一』を反対から読むと?
・・・うまいタイトルのつけ方ですよね。
センスがありすぎです。

新選組で三番隊組長を務めていた男・斎藤一が、幕末から戊辰戦争、西南戦争までを語る物語です。

斎藤一
維新後名前を変えて、この頃は「藤田五郎」と名乗っていました。
新選組の幹部の中で沖田総司・永倉新八に肩を並べる剣客です。

著者・浅田次郎は、斎藤一の語りを利かせる人物に、陸軍近衛兵の剣士・梶原中尉を選びます。

梶原中尉は、剣道の全国大会で2位。
明治天皇が崩御して、乃木将軍が妻を道連れに自害したことに思い悩み、剣道でも精彩を欠いている時期でした。

乃木将軍
「乃木希典(のぎまれすけ)」長州藩の支藩の武士で、西南戦争・日清戦争・日露戦争で戦功を挙げて、陸軍の大将になっていた人物。明治天皇に殉死したことで有名。

そんな梶原中尉に斎藤一が語ったのは、

幕末で実践で人を斬ってきた

「武勇伝」

ではありません!
(少しそういう感じもありますが(-_-;))

剣の極意

幕末の京都、新選組の最前線でほとんどの戦いに参加してきたうえに、戊辰戦争・西南戦争でも生き残った男が語る剣の極意とは?

サムライ

斎藤一とひとりの少年の生き様を通して、

斎藤一が生き残った理由

が解き明かされます。

正直、私も【一刀斎夢録】を今まで2度読みましたが、いろんなことが詰まりすぎていて未だにきちんと整理できていないのが現状です。

ただ新選組のファンもそうでない方にも

メッチャおもしろい小説

なので、読んでみてほしいですね。

そして、最後には主人公(?)梶原中尉は剣の奥義を会得できたのでしょうか?
超長編小説なので、読みごたえも充分です。

斎藤一が語る新選組と戊辰戦争

 

夜の鶴ヶ城

斎藤一が語る幕末の京都での新選組時代の話。

芹沢鴨の粛清
長州藩の間者(スパイ)粛清
新選組隊士たちの様子

ここは新選組ファンはおもしろく読めるところですね。
とくに長州藩の間者と思われる隊士たちとの暗闘は、おもしろいところですね。

十番隊組長・原田左之助の人柄も詳しく描かれていますね。

さらに、「鳥羽・伏見の戦い」以降の「甲陽鎮撫隊」、「会津戦争」での斎藤一の活躍もみどころです。

所々、浅田次郎流の見解も含まれていて読みごたえがありますよ!

斎藤一の生い立ちと維新後

葵の御紋

斎藤一はもともと江戸の御家人の家で育ちました。
当時、御家人株というのがあって、御家人の身分もお金で買うことができました。

斎藤一の父が人夫斡旋の仕事で儲けたお金で、その身分を手に入れていたんですね。

幼年時代からそのことに嫌気を感じていた斎藤一は、今でいう「グレた」わけです。

斎藤一は、

山口一(江戸にいたころ)
斎藤一(新選組から御陵衛士時代)
山口二郎(油小路の変から戊辰戦争)
一瀬伝八(斗南藩移住時代)
藤田五郎(東京に戻ってから)

4回も名前を代えていました。

幕末時代からいろいろな戦いを経験した斎藤一だけに、頻繁に改名する必要があったのかもしれません。

維新後の斎藤一は、「死に場所」を探している状態です。
京都でともに過ごして、一緒に戦った仲間が散っていくのを見送っていたんですね。

でも、斎藤一を倒す者がいなかったんです。
その苦悩を語る斎藤一に梶原中尉は何を感じるのでしょうか。

世の中を拗ねた目でみていながらも、「人間臭さ」をもっている斎藤一も魅力です。

斎藤一が生かそうとした男・市村鉄之助とは?

迷いイヌ

【一刀斎夢録】では、いろんなテーマが目白押しなんですが、メインとなるのが「乞食小僧」との因縁。

京都時代のある日、同僚の吉村貫一郎と歩いていると橋の下でうずくまる少年二人と出会います。

これが市村辰之助、鉄之助兄弟でした。

面倒見のいい吉村貫一郎は、この兄弟を屯所に連れ帰ってしまいます。
ここから市村鉄之助の受難と斎藤一の奇妙な縁が始まるのです。

詳しい経緯は、本書にて読んでいただきたいので、避けます。

感想は・・・「すごい!」です。
著者浅田次郎は、斎藤一と市村鉄之助を結びつけた上に、こんなに壮大な物語にしてしまうんです。

他の本を読んでも市村鉄之助と斎藤一の関りなど書いている小説はありません。
感動しました。

戊辰戦争


市村鉄之助
14歳(1867年)で新選組に入隊して、両長お抱えの小姓になる。鳥羽伏見の戦い、甲陽鎮撫隊、土方歳三とともに会津戦争・箱館で官軍と戦う。

箱館で土方から遺髪・佩刀・写真を託される。佐藤彦五郎宅へその品々を届けた後、佐藤彦五郎に2年間かくまわれる。

その後は、地元・大垣へ戻った説と西南戦争で西郷軍として戦い戦死した説がある。

市村鉄之助が2年間過ごしていた部屋が現存しています!

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新選組メンバーとのエピソードも豊富

誠

斎藤一は新選組の創設メンバー。
新選組隊士たちとのエピソードも豊富です。
斎藤一の多少うがった見方ではありますが、それぞれのキャラクターが魅力的に描かれているのでおもしろいです。

土方歳三への評価

「冷静沈着」
「戦の天才」
「頭脳明晰」

土方歳三は斎藤一からかなりの高評価です。
農民出身からその才覚で立身出世した歳三を信頼するとともに、歳三からも斎藤一は仕事を確実に遂行する人物として信頼を得ていました。

会津で歳三と別れる時にも、決して喧嘩別れではなく二人が「死に場所」を選んだ結果だったということが描かれています。

「散り方」に関しても、「役者のように華々しく散った」と少し羨むような記述もあります。

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ふるさと資料館にある土方歳三の絵

沖田総司との絆

斎藤一は沖田総司を「剣の天才」として、評しています。
永倉新八や斎藤一の体は傷跡だらけでしたが、沖田の体はキレイそのものであったとのことです。

数々の戦いでも斬られることがなかったんですね。

そんな沖田とのエピソード。
甲府で戦に敗れた後、結核で弱った沖田を見舞ったときのこと。

武士は死ぬときに寝床で死ぬのではなく、布団を上げて死ぬ

という話になり、沖田は

僕は無理だなぁ

といいます。

そして、沖田と交わした最後の言葉。

「早よ、死ね。」

なんだか二人の絆が分かる会話ですね。

そして、斎藤一は自分の死期を悟ると・・・・。

永倉新八の姿

永倉新八は、斎藤一とともに戊辰後も大正時代まで生き残っています。

それでも二人は、甲府で敗れ、江戸にもどって袂を分かってから一度もあっていません。

かといって、二人が反目し合っていたわけではなく、何か通じ合っていたのでしょう。

維新後、警察官をしていた斎藤一は、東京にあった永倉の自宅も知っていたのです。
ともに戦った者同士、言葉ではない何かでつながっていたのだと思います。

永倉新八への評価もおもしろいです。

正義感あふれる熱血漢

芹沢鴨粛清のとき、土方はこの永倉への抑えとして斎藤一を当てます。
斎藤一はこの時の永倉の気持ちを分かっていただけに、つらい役回りでした。

このエピソードは【輪違屋糸里】で詳しく描かれています。
小説【輪違屋糸里】女性から見た新選組!新鮮な人物像が魅力です。

永倉新八と親しい原田左之助も魅力的に描かれているので、おもしろいですよ!

永倉新八が主役の小説【新装版幕末新選組】

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幕末新選組タイトル

久米部正親と林信太郎

林信太郎は斎藤一率いる三番隊の伍長。斎藤が信頼を置いている部下でした。

久米部正親は何かと斎藤一の前に現れる憎めないタイプのお人よし。

この二人は物語での脇役ですが、かなりの登場回数です。

二人のキャラクターも極めて魅力的に描かれているので注目してみてくださいね。

佐藤彦五郎への好意

斎藤一は、ほとんどの人を「糞袋」と呼んでいます。
でも、そんな彼が尊敬を寄せているのが、

佐藤彦五郎

土方歳三の実姉の夫、近藤勇の弟子、天然理心流の支援者。

「それだけに新選組を支援せざるを得なかった」としても、援助し続けた佐藤彦五郎を斎藤一は尊敬していました。

戊辰後、官軍に睨まれながらも市村鉄之助をかくまい続けた恩。

土方歳三は、佐藤彦五郎に遺髪や佩刀、写真を託したのではなく、「市村鉄之助の身の上」を託したのでした。

佐藤彦五郎はそのことが分かっていたのかもしれませんね。

土方歳三も吉村貫一郎も佐藤彦五郎も斎藤一も久米部正親も、み~んな市村鉄之助を生かそうとしていたんですね。

東京日野市にある佐藤彦五郎新選組資料館&土方歳三資料館では、その歳三の遺品をみることができます!

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「倒幕派メンバー」との関りにも注目!

西郷隆盛像

【一刀斎夢録】のおもしろいところは、斎藤一と敵対していた者たちが新政府のお偉いさんとして登場してくるところ。

彼らの京都時代の姿がどんな風に語られるかも注目したいところです。

坂本龍馬と中岡慎太郎

キーワードは、

「左利き」

「近江屋事件」の真相が描かれています。近江屋事件とは、海援隊・坂本龍馬と陸援隊・中岡慎太郎が京都で暗殺された事件。

【壬生義士伝】で詳しく書かれていますね。
【壬生義士伝】悲しさとせつなさと心強さと!絶対に読みたい幕末新選組小説。

【一刀斎夢録】でも詳しく描かれています。
これを初っ端から梶原中尉に聞かせるものだから、一気に物語に引き込まれます。

最初に読んだときはビックリしました。おもしろい「説」なので注目です。

西郷隆盛と大久保利通

斎藤一は京都時代に西郷隆盛と出会っていました。
その出会いのエピソードがおもしろいので、必読です。

その後の戊辰戦争から西南戦争で、西郷は完全に斎藤一の「敵」になっていますね。
二人の出会いがどんなだったかは「お楽しみ」です。

そして維新後、新政府内で西郷と袂を分かった大久保利通。
西郷と大久保の関係を斎藤一は独白の中で、おもしろく推察しています。

くわしく内容は書きませんが、私も読んでみて「おもしろい」と感じました。
このあたりの見解は歴史好きの方にとっては、めっちゃおもしろい部分なんじゃないかと思います。

中村半次郎

人斬り四天王のひとり。中村半次郎との出会いも描かれていましたね。

二人は京都時代、腕利きの人斬り。
斎藤は近藤勇の護衛、中村は西郷の護衛として、遭遇します。

結局斬り合いにまでは発展していませんが、二人の対決は見ものですね。

最後に。

読書に夢中!

実はこの記事、書くのにずいぶん時間がかかってしまいました。

ここまで読んだ方、「たいした文章じゃないじゃん」と思いますよね。

【一刀斎夢録】この小説はメッチャ好きで、好きなだけに何をどう紹介していいか分からないんです。

私が感じたものが全部紹介できていません。すみません!

とにかく!浅田版新選組は、

魅力的なキャラクター

が特徴です。

三作品通して、ひとつの作品といってもいいぐらいです。
ファンとしては続編や土方編なども読みたいですね。

いつか書いてくれるといいなぁ。

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ぜひ一度読んでみてくださいね!


最後まで読んでいただきありがとうございました!

刀
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