クワガタの足がとれたり、麻痺したりしたときに注意することは?

こんにちは。ケンスケです。

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クワガタを飼育していると、どうしても避けて通れないことがあります。

足の欠損(けっそん)

クワガタのいずれかの足がなくなってしまうことですね。

足がとれたからといって、すぐに死んでしまうようなことはありませんが、生活に支障をきたすおそれもあります。

問題は、

どの足がとれたか。
足のどの部分が欠損しているか。
何本欠けてしまっているか。

それぞれで障害の度合いが違ってきますよね。

今回の記事では、「クワガタの足の欠損、麻痺」について紹介していきます。

ミヤマクワガタ

クワガタの足がとれたり、麻痺したりしたときに注意することは?

クワガタの足(脚)の名前。

まずは、クワガタの足の名前を覚えておきましょう。

とはいっても、簡単です。

クワガタを含めた昆虫の足は6本。そのまんま覚えれば大丈夫!

画像をのせておくので、見ながら覚えておくと便利ですよ!

足の名前。

クワガタの足の名前

頭側から順に、前足(まえあし)・中足(なかあし)・後足(うしろあし)ですね。
前脚(ぜんきゃく)・中脚(ちゅうきゃく)・後脚(こうきゃく)とも書きます。

読み方は、音読みでもアリです。
前足(ぜんそく)・中足(ちゅうそく)・後足(こうそく)

昆虫の足は基本、左右3対の6本
すべて、胸部から生えているんです。

ちなみに羽は左右2対(4枚)で、こちらも胸部から生えています。
(例外としてハエや蚊、アブは2枚が退化して、羽は2枚です!)

なぜ脚は6本なのでしょうか?・・・答えはわかりませんでした。

ムシの中には、敵に襲われたときに自分の脚を切り離して逃げるものがいます。

カブトムシやクワガタは足が欠損してしまうと二度と生えてきませんが、他の昆虫のなかには成虫になって脱皮するものの中には生えてくるものがいます。

注意!
ここまで、便宜上「足」と表記していますが、実は昆虫の場合「足」とは書かず、「脚」とか「肢」と書きます!
(前肢・中肢・後肢)ぜんし・ちゅうし・こうし

各部の名称

クワガタの脚の各部位の名称
基節(きせつ)・転節(てんせつ)
身体から脚が生えてくる元の部分。
転節によっていろんな方向に動くようになっています。
腿節(たいせつ)
太ももにあたる部分です。
他の部分よりも太くなっていて、これより先を動かす筋肉が入っています。
脛節(けいせつ)
ヒトでいうところの前腕やスネの部分。
前足ではこの部分をシャベルのように使い、土をかいてもぐります。
跗節(ふせつ)
ふくらみがいくつかつながったような形をしています。
柔軟性があり、いろんな方向にツメをたてることができます。
ツメ
鋭い鉤爪で樹皮にしがみつきます。
真ん中に毛のような感覚器があって、振動、重力の向きを感知しています。
鋭いツメが6本もあるおかげで、大きな重い体のクワガタも樹皮や枝に力強くしがみつくことができます。

カブトムシの脚についてはこちらの記事をご覧ください。

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カブトムシの顔

 

クワガタの足がとれる原因。

クワガタの脛節~ツメ

↑ツメの間に「感覚器」である毛のようなものが生えているのに注目!

いちばん欠けやすいのが前脚の跗節(ふせつ)
作りからもわかると思いますが、いかにも壊れそうですよね。
とくに前脚の脛節、跗節は過酷に使用される部位です。

くわしくは分かってはいませんが、脚が欠損する要因として次のものが考えられます。

闘争
クワガタ同士のケンカやペアリング時にメスに噛みつかれたなど。
転倒・落下
クワガタは登り木にしがみつく力は強いのですが、危険を感じると脚を離して落下する「擬死(ぎし)」(しんだふり)の習性があります。
ひっくり返ったままでいると耐えず脚を動かし続け、金属疲労のように取れやすくなることも考えられます。
乾燥や加湿しすぎ
湿度が極端に乾燥気味だととれやすくなることがあります。
湿度が高すぎでも細菌や真菌が増える影響で脚が欠損しやすいことがあります。
加齢・老化
クワガタは活動する限り、脚はかなり使っています。
もともと強固に接続されているわけではないので、使用期間が長引くことで消耗するのかもしれません。
触りすぎ
不必要に持ち上げたり、触ったりしているとクワガタのストレスのもとになります。

クワガタの足が麻痺することもある。

トカラノコギリクワガタのメス腹側

たまに観察をしていると、脚が麻痺しているクワガタがいます。
原因はわかりません。

加齢によるもの、病気によるもの、細菌やダニによるものいろいろ考えられます。

カブトムシの脚がとれたときはこちらの記事をご覧ください。

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命に別状はない?

コクワガタオス

脚がとれたからといって、それだけで弱ってしまうということはありません。

ただし、脚がすべて揃っているときに比べて、生活する能力が落ちてしまうことは十分に考えられます

①登り木に掴まる力が弱い

登り木に登れなかったり、登れても落ちてしまうことが考えられます。

②起き上がりにくい。

クワガタはひっくり返るとどこかにツメを引っ掛けて、それを起点に起き上がります。
ツメの部分が欠損していると引っかかる確率が減るので起き上がりにくいです。

③エサにたどり着くのが大変。

クワガタは脚で移動するとき、ツメを引っ掛けて歩きます。
脚が欠けているとその脚にはツメがありません。
とくに立体的な移動が難しくなることもあります。

④隠れにくい。

クワガタはマットに潜ったり、木の陰に隠れたりして身を隠しています。
脚が欠けていると潜れないこともあるのです。
そのため、人影などで通常よりも多くのストレスがかかることになります。

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普段の生活で気をつけること。

平面にゼリーをおいてあげる

↑登らなくてもいい平面にゼリーをおいてあげる!

脚の欠損はクワガタの生活にも影響を与えます。
脚がとれてしまったクワガタも少し気をつけてあげることで長生きしてくれることも多いので、実践してみてください。

○単独飼育する。
基本は単独飼育ですが、コクワガタのように温和な種類は多頭飼育しまっていることもありますよね。
エサをとれなかったり、闘争で負けてしまったりするので、脚がとれたクワガタは単独で飼育してあげましょう。

○エサはマット上に直接おいてあげる。
登り木に掴まるのが困難な場合は、登らなくてもいい場所に昆虫ゼリーを置いてあげましょう。

○転倒防止材を多めに。
マット上には、登り木ほど大きくはない小枝など転倒したときにつかまりやすいものを通常よりも多めに入れておくこと。

○適度に加湿する。
乾燥は脚の欠損の原因にもなります。
加湿し過ぎもよくありませんが、乾燥しない程度に湿度を保ちます。

○ストレスを与えない。
脚が欠けていると隠れることが難しくなるので、エサ交換のとき意外は静かな場所で静かに観察しましょう。
驚かすと「死んだふり」で木から落ちたり、ストレスの原因にもなります。

クワガタの転倒防止材はこちらが便利です。

クワガタの転倒防止材について。

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ミヤマクワガタのオス

繁殖に支障をきたす恐れ。

オオクワガタのペアリング

クワガタの繁殖活動で脚が重要な役割を果たす場面があります。
脚の欠損により、繁殖に支障をきたすことがあるので注意が必要です。

ペアリング(交尾)
オスの前足でメスの肩部分を掴む種類のクワガタは、前脚が欠損していると交尾が不完全だったり、できない場合があります。
オオクワガタの場合、オスメスがV字になってお尻を突き合わせるように交尾するのでほぼ問題ないことが多いです。
産卵
メスは土やマットに潜るとき、前脚の脛節をスコップの代わりにして潜ります。
脛節欠けの場合、うまく潜れないことがあります。
この場合、産卵材をマットに全部埋めずに地上部分に露出させるようにしてみましょう。
マット産みの種類(ノコギリクワガタやヒラタクワガタ、ミヤマクワガタなど)は産卵できないこともあります。
マットを固めずに柔らかく入れることで潜れるようにしてみるのもいいかもしれませんね。

前脚以外の欠損の場合だと産卵には問題ないことも多いです。
元気にエサを食べているなら、繁殖も可能なことが多いですよ。

クワガタの繁殖用マットはこれがおすすめです。

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幼虫の足がない?!

割り出したばかりのヒラタクワガタの2齢幼虫

たまに幼虫の脚が欠けてしまっていることがあります。
(私はみたことがないのですが。)
成虫になっても欠けてしまっているんじゃないかと心配になりますよね。

でも、大丈夫!

幼虫時代の脚の欠損は、蛹になる過程で再生されるのです。
蛹になるときに一部の神経系を残して、身体が再合成されるからなんです。

最後に。

トカラノコギリクワガタのオス

がんばって育てたクワガタの脚が欠けてしまったら、ショックですよね。

弱ってしまわないか不安にもなります。

でも、飼育時にちゃんと気をつけてあげれば案外長生きしてくれます。

前脚だといろいろと不自由になりがちですが、他の脚が無事であれば、クワガタはうまく使いながら生活しています。

私が以前飼育していたオオクワガタのオスは、ペアリング時に脚が欠損してからも越冬して3年近く生存して子孫も残してくれました。

ピッカピカの完品(脚の欠損も羽化不全もない)もカッコいいですが、脚が欠損しながらも必死で生きているクワガタって、すごく愛着が持てるんですよね。

どうか、飼育しているクワガタを大事に育ててくださいね。

オオクワガタは丈夫で長生き。繁殖も簡単ですよ!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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