司馬遼太郎「人斬り以蔵」。すれ違った以蔵と武市半平太を描いた物語

こんにちは。ケンスケです。

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幕末の「人斬り四天王」といわれる人物をご存知ですか?

尊皇攘夷運動の一環として、佐幕派の要人や開国派の人々を暗殺という形で排除していった人物たちです。

ペリーの来航後、江戸幕末の京都で横行した「天誅」(てんちゅう)
藩や身分のために、自分たちの理想を実現する術がなかった若者たちが起こした数々の事件。

そんな四天王のひとり。
土佐出身の岡田以蔵
当時の京都では狂犬のように恐れられていた男です。

土佐勤王党として活動しながらも、勝海舟の用心棒になったり、坂本龍馬と交流があったり。

岡田以蔵が目指したのはどんな世の中だったのか。
司馬遼太郎が描いた幕末を中心とした歴史時代小説【人斬り以蔵】を紹介していきます。

司馬遼太郎「人斬り以蔵」。すれ違った以蔵と武市半平太を描いた物語

こんな方におすすめです。
江戸幕末ファン
歴史小説が読みたい人
幕末・戦国時代のエピソードを知りたい。
息抜きに短編小説を読みたい。
【竜馬がゆく】を読んだ人。

幕末と戦国の話が混ざった短編集

時代の変革期に立ち会った武士たちの物語。
幕末の人物がほとんどですが、戦国から江戸時代初期の話もいくつか収録されています。

表題作「人斬り以蔵」のほか、「鬼謀の人」「割って、城を」など全部で8話

大きな歴史的事件に関わり、後々まで名前を残した人物から歴史的事件の裏で、その次代に翻弄された人物の話まで、あくまで淡々と描かれています。

司馬遼太郎作品のほとんどにいえることですが、時代背景や人物背景を描写するのがうまいので、物語の流れがすごく分かりやすいのです。

どの短編もおもしろく読めるのですが、私が印象に残ったのはやっぱり岡田以蔵の物語。

また、私が好きな戦国武将の黒田官兵衛が育てた「後藤又兵衛」の話はなかなか興味深く読めました。

私たちは歴史の結末を知っているから、「どうしてそういう生き方をするんだろう?」なんて思ってしまいます。

でも、その時代に生きている人からすれば、「何が起きているのかわからない!」とか「それよりも明日食う米が大事!」っていう感覚だったのかもしれません。

そんな当時に生きた人々の生きざまや死にざまが淡々と描かれていく短編集。
意外とハマること間違いなしです。

幕末の暗殺事件を扱った歴史小説【幕末】もおもしろい!⇒司馬遼太郎「幕末」江戸末期に起きた12の暗殺事件を描いた短編集!

幕末を震撼させた岡田以蔵の素顔

土佐藩で生まれ育った岡田以蔵と土佐勤王党を立ち上げた武市半平太の物語です。

土佐藩というとやっぱり坂本龍馬が有名ですが、幕末当時に龍馬よりも名を馳せていたのが武市半平太。

○以蔵がどのようにして武市に出会い、心酔していったのか。
○どのようにして「人斬り以蔵」が生まれたのか。
○ふたりの関係に齟齬が生じ始めたのはなぜだったのか。

ほんの150年前には当たり前だった身分の壁がどれだけ巨大だったかを知る手がかりになる作品だと思います。

この作品を読んで、

もし岡田以蔵が坂本龍馬に付いていったら?

とか

土佐藩主・山内容堂が土佐勤皇党を捕縛しなかったら?

とか、いろんなことを考えさせる作品です。

どうしても土佐藩の事情や土佐勤王党の顛末を語るには暗い雰囲気になりがちですが、司馬遼太郎作品ではそれほど悲哀を感じさせないつくりになっているので読みやすいですよ。

武市や以蔵をへんに「英雄あつかい」するでもなく、かといって悪人に仕立てあげるでもなく、物語は進んでいきます。

【竜馬がゆく】でもふたりは登場するのですが、この作品は二人の関係にスポットを当てて物語になっているんです。

天才・村田蔵六の話「鬼謀の人」

長州藩が生んだ鬼才・村田蔵六のお話です。
『大村益次郎』(おおむらますじろう)といったほうが知っている人は多いかもしれませんね。

大村益次郎は、戊辰戦争のときに上野にこもった「彰義隊」(しょうぎたい)を1日で壊滅させた人物として有名です。

物語の中の益次郎は天才ではあるが、人の気持ちがわからない性格の持ち主。
益次郎自身はとくに敵意を持っているわけではないのに、知らないうちに身内にも敵を作ってしまうのでした。

○そんな益次郎のいちばんの理解者とは?
○明治政府は大村益次郎を使いこなせるのか?
○天才ゆえの孤独。
○益次郎の功績

などなどみどころ多数。

西郷隆盛や木戸孝允、大久保利通など明治でも活躍した人物と違って、それほど有名ではなかった人物ですが、能力においては随一といわれた大村益次郎の物語。

知っていた人も知らなかった人も大いに楽しめる作品です。

さっぱり読める武士たちの物語が多数

他の作品も、それぞれの人物の個性が際立っていて、読んでいておもしろいです。

時代の変革期に生きた武士たちとその周囲の人々の物語。

時代に乗り遅れたくないけど、どちらに乗ったらいいのかわからない?!

そんな当時の人々の姿に、司馬遼太郎の色が合わさって、どの物語の人物にも感情移入して読めてしまいます。

歴史を読む!とか史実はどうなんだろう?とか、難しいことを考えず、肩肘張らず、楽しく読める作品です。

それに読後感も「悲哀」に満ち溢れることなく、さっぱりとした印象ですよ。

歴史に詳しい方もそうでない方も、比較的読みやすい文章でページ数は多くても、スラスラ読み進められます。

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最後に。

司馬遼太郎作品は、読後感がさっぱりしていますよね。
それでいて登場人物へ感情移入できてしまうところが、私は好きです。

とくに今回の短編集【人斬り以蔵】は、知っていそうであまり知らなかった人物の人生を深く知ることができる作品です。

他の司馬遼太郎の作品と一緒に読んでみるともっとおもしろく読めること間違いなしですよ。

長編小説やオモイ作品の合間にちょっとひと息つきたいときにおすすめの一冊です。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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