門井慶喜「新選組颯爽録」は隊士たちの人柄・心情を鮮やかに描いた作品

こんにちは。ケンスケです。

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私「読書好き」を公言していながら、実はこの『新選組颯爽録』を読むまで門井慶喜さんの本を読んだことがありませんでした。

新選組関連の本を読み漁っているうちに出会った『新選組颯爽録』。そして作家・門井慶喜のファンになりました。

新選組という、いわば語り尽くされた感のある題材を使って、ここまで読んでいて楽しいというか、心地いいような作品なんです。

文章も読みやすくて、背景描写、心理描写もすごくうまい、そしてなによりストーリーの展開の仕方がめっちゃ巧みにできているんですよ!

司馬遼太郎の『新選組血風録』を意識して描き下ろしたというこの作品、ぜひ一緒に読んでみてほしい作品です。

今回は『新選組颯爽録』を紹介していきましょう。

門井慶喜「新選組颯爽録」は隊士たちの人柄・心情を鮮やかに描いた作品

こんな人におすすめ!
新選組好き
幕末時代小説が読みたい!
新選組隊士について詳しくなりたい!
現代風に書かれた時代小説を読みたい!
女性にもおすすめ。

新選組隊士が「颯爽」と生きる姿を描いた7作品。

作者が司馬遼太郎の「新選組血風録」を意識しているとどこかで読んだことがありますが、この『新選組颯爽録』も短編集です。

主人公は、新選組の幹部である近藤勇・土方歳三・沖田総司のほか、箱館まで土方とともに戦った安富才助、近藤の信任も篤かった尾形俊太郎

そしてもうひとり、新選組小説でもほとんど知られていない村山謙吉という人物も登場します。

近藤勇が主役を務める作品が2つ。その他の人物たちは1作品ずつ。全部で7作品収録されています。

どの作品もそれほど長くなく、また非常に読みやすい文体になっているので、状況把握もしやすく、心理描写、背景描写も的確でスイスイと読み進めることができますよ。

人によって読む速度が違うとは思いますが、私でだいたい6~7時間ぐらいで読み終えられました。
(私は読書スピードはそれほど速くありません。普通ぐらい!)

ストーリー展開がすごくうまいので読んでいて楽しい時間です。
徹夜して一気に読んでしまう~ってことにならないように気をつけましょう。

それぞれの作品は、隊士たちが「堂々と」、ときには「賢く」生きていく姿が描き出されています。
その姿は、表題の「颯爽」(さっそう)という言葉がピッタリとくるような印象を受けました。

『新選組颯爽録』の目次

戦いを避ける
局長近藤勇が主役。
「池田屋事件」の真っ最中に近藤が戦いを避けた?!その真意とは?
馬術師範
明治まで生き残った安富才助の章。
生真面目な性格が人を救うこともある!
私がこの本のなかでいちばんお気に入りの作品。
芹沢鴨の暗殺
近藤勇が芹沢鴨の粛清(しゅくせい)を決意するまでの心理描写が巧み。
土方や沖田の考え方や行動にも注目!
密偵の天才
村山謙吉が主役。
背景や人物関係がちょー複雑。でもそこがおもしろい作品。
ワタシ的にこの作品もお気に入り。
よわむし歳三
土方歳三が意外な一面を見せる作品。
土方とともに登場する原田左之助の性格にも要注目。
新選組の事務官
名前はよく出てくるが、どんな人物かわかりにくかった尾形俊太郎の回。
武田観柳斎がいや~な人物で登場する作品。
ざんこく総司
平然と仲間の首を打つ沖田。
その心情と仲間への友情を描いた作品。
山南敬助を描いた作品でもある。なんかふたりがかっこいい。

相反する登場人物を描くことで人柄を強調。

この作者のストーリー展開の巧みな点は、登場人物に相対する人物を描くことで主役の心情・性格を際立たせているところでしょうか。

どの作品にも主人公を邪魔してくる人物が登場します。
その人物たちが仕掛けてくる意地悪に、主人公はどんな風に対応するのかっていうのがみどころになっているのです。

内容は読んでみてのお楽しみにしてもらいたいのですが、創作と史実を織り交ぜながらストーリーが展開されているところは、現代版の「新選組血風録」を読んでいるような錯覚に陥りますよ。

子母澤寛の「新選組始末記」などにもでてくるエピソードも盛り込んでくるあたりは、新選組マニアも唸らせる作品なのではないでしょうか。


心地いい読後感で、長編小説の合間に読むのに最適。

 

作品に登場する新選組隊士たちは、「颯爽」と隊務に励み、堂々と生きていく姿を見せてくれるます。

なので、時代小説特有の「切ない」ような「やるせない」ような読後感はほとんどありません。

むしろ、難しい本に「箸休め」的についてくるコラムのような存在を果たしてくれます。

だからこの『新選組颯爽録』は、難しい本や重い話題を扱った本の合間に読んでほしいのです。

時代小説だからって肩肘張らずに、気軽に読めるんですよね。

最後に。

新選組小説は人によって描き方がずいぶんと違います。
それがおもしろいところなんです。

局長の近藤勇、総長の山南敬介、一番隊長の沖田総司などは、作品によってずいぶん性格が違うように書かれることが多いです。この作品の人物たちは心理描写を巧みに描いているので読んでいて、親近感が湧いてきます。

実は私、本はたくさん読むのですが、内容はすぐに忘れてしまうんです。
普段から流し読んでいるせいなのかもしれませんね。

昔、なにかの推理小説を読んでいて、半分ぐらい読み終わったところで、「あ、これ昔読んだヤツ!!!」って気づいたこともあります。

でも、私のすぐ忘れる性格。いい所もあるんです。

何度でも楽しめる!

ってこと。
同じ本もしばらく寝かせれば、もう一度楽しめるんです。

いいでしょ?
経済的ですよ。

また、時間を置いてから読んでみたくなる作品です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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