本能寺三部作から始まる加藤廣の戦国時代の小説を紹介!初心者にも◎

こんにちは。ケンスケです。

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作家・加藤廣氏は「本能寺の変」の真相を歴史ミステリーとして描いた作品群「本能寺三部作」が有名です。

※「本能寺三部作」
本能寺の変を主題においた加藤廣氏の代表的作品【信長の棺】上下巻
秀吉の天下統一と苦悩を描いた【秀吉の枷】上中下
光秀の義理の息子・左馬助からみた本能寺の変【明智左馬助の恋】上下

「本能寺の変」の黒幕は・・・、というと現代でもいろんな議論がなされていて、日本史のミステリーのひとつといわれています。

その歴史的事件を題材に、多くの人物の思惑や当時の状況を分析して3つの小説が執筆されました。

それぞれは全く別の小説のようでいて、実は同じ事件を三者の立場から描いているのです。

この三作品を読むだけで、「本能寺の変」当時の状況を理解できるだけでなく、どうして「本能寺の変」が起こったのかを想像しながらミステリーを楽しむことができるんです!

さらに!

本能寺三部作の登場人物たちのその後の行く末や脇役たちの物語もその他の小説で作品化されているんです。

物語もかなり詳細な資料を取材、分析して描かれています。
入り組んだ人間関係や婚姻関係が歴史情勢にもかなり影響を与えている時代ですが、わかりやすいですよ。

今日は、ぜひ読んでおきたい加藤廣氏の戦国時代の小説を紹介していきますね。

熊本城

本能寺三部作から始まる加藤廣の戦国時代の小説を紹介!初心者にも◎

※少し長い記事になりましたので、下の目次からお好きなところを読んでくださいね。

キャラクター設定が共通しているから読みやすい!

読書イメージ

今回紹介する小説のほぼ全部、加藤廣氏が数多くの資料を分析して創作した物語。

戦国時代の歴史って、分かっている事実があって、他の部分は当時の状況だったり、人伝えだったりから推測されたものを集めたもの。

だから、歴史時代小説は作者が想像する余地が多分にあるのです。
人物についてもそう。

戦国時代の人物なんて、現代社会で誰一人会ったことのある人はいません。
記録に残っているものから想像するしかないのです。

織田信長や明智光秀の人物像なんて、100人作家がいたらみ~んな違っていたりしますよね。

加藤廣氏の戦国時代のキャラクターたちはみんな魅力的です。
信長も光秀も、秀吉も家康も。

能力を評価しつつも性格の欠点なんかも描いているので、なんとなく身近にいる人物と重ね合わせたりして、親近感が湧いてきます。

そして、そのキャラクターが全作品に共通しているので、全部をひとつの続き物としても楽しむことができるのです。
もちろんそれぞれ独立した作品としても成立してます。

事件や合戦、それに至った経緯も作品どうしで一貫しているので非常に読みやすいし、わかりやすい!

今までいろんな作家の小説を読んできましたが、それぞれで見解や人物設定が違っているので、理解するのに時間がかかってしまうこともしばしばありました。

ですが、加藤廣氏の作品を続けて読んでみると・・・今まで複雑でわかりにくかった歴史背景がよく分かるんです!

加藤廣氏の作品に出てくる人物たちは、なんとなくですが、みんなサッパリしていて、爽快感があるんですよね。

だから、作品を読み終わっての印象はどれもしんみりすることはあんまりないのです。

歴史小説をあまり読んだことのない方でもすごく読みやすくて、わかりやすい作家さんだと思います。

信長の遺骸ミステリー【信長の棺】は最初に読もう!


まず、いちばんに読んでほしいのは代表作【信長の棺】

本能寺三部作はどれから読んでもいいのですが、【秀吉の枷】【明智左馬助の恋】を先に読んでしまうと、【信長の棺】のミステリーがネタバレしてしまうのです。

主人公は太田牛一という武将。
信長に初期の頃から仕えて、秀吉、秀頼につかえていく人物です。

「信長公記」、「大かうさまくんきのうち」などの伝記や軍記を数々残したことで知られています。

その太田牛一が信長から受けた密命と「本能寺の変」の謎に迫っていくミステリー。

【信長の棺】のみどころ!
「本能寺の変」の黒幕は?
消えた信長の遺骸。
当時の秀吉・家康の行動。
他の大名・朝廷・文化人たちの思惑。
などなど!

「本能寺の変」を知りたい方にはみどころ多数。
歴史好き・歴史小説初心者には絶対読んでおいてほしい作品です!

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信長の棺 表題

秀吉の天下取りを描く!【秀吉の枷】


「本能寺の変」のあと、秀吉は疾風のごとく天下を治めることに成功したのはみなさんご存知のはず。

この【秀吉の枷】は、どのようにして秀吉が、諸侯をだしぬいて光秀を討つことができたのかを明らかにした作品。

さらには、天下を治めたあとの秀吉の苦悩を描いているのです。

内容は明かしませんが、天下人・秀吉を悩ませるいくつもの問題は周囲の人物を巻き込んでいくつもの事件を引き起こします。

【信長の棺】のミステリーの種明かしをしたあと、数々の秀吉を悩ます心配ごと。
それをどうやって解決していくのか。

信長亡き後の秀吉時代を詳しく知るにはもってこいの作品。
上・中・下三巻に分かれていて、読み応えも充分。
【信長の棺】を読んだあとに楽しみたいですね。

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光秀の苦悩と葛藤!【明智左馬助の恋】


加藤廣「本能寺三部作」の完結編的小説です。

主役は、光秀!

では、ありません!

明智左馬助

明智秀満とか光春、満春などいろんな名前がある人物で、くわしい出自は謎のようです。

明智光秀の重臣として重用された人物の物語。

【信長の棺】【秀吉の枷】にもわずかに登場し、非常に気になる人物として描かれているのです。
その明智左馬助が主人公。

【明智左馬助の恋】では、光秀の側近として仕えた左馬助を通して、明智光秀からみた「本能寺の変」を描きます。

もうひとつみどころは、「荒木村重の謀反」
荒木村重が信長に謀反を起こした事件は、明智家にも大きな激震を引き起こします。

さらに、小説の題名にもなっている「恋」。
左馬助の恋の行方も気になりますよね。
主人公・左馬助の行動にも要注目ですよ!

こちら【明智左馬助の恋】もみどころたくさんなので、戦国時代を詳しく知りたい人は必見です。

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明智左馬助の恋アイキャッチ

家康の狡知な処世を描いた小説2つ。

【神君家康の密書】【家康に訊け】の2作品の紹介です。
家康が表題になっていますが、実際は短編のなかに家康が関わる短編(中編?)小説になっていますよ。

【神君家康の密書】


まず【神君家康の密書】は2011年の作品。
京極高次・柴田勝家・福島正則三人の武将を描いた短編集になっています。

京極高次は、信長の妹・お市と浅井長政の三人娘のひとり・初(はつ)を性質とした人物。
「蛍大名」といわれた京極高次の人生もすごく面白い作品です。
柴田勝家と茶器の物語もおもしろい!
「秀吉と出世を争って、秀吉にいじわるをする」イメージが強い勝家ですが、加藤廣の描く柴田勝家はかっこいいのです。勝家と信長の妹・お市、そして茶碗の物語は感動を覚えますよ。
もうひとつ福島正則の物語。
表題にもなっている「神君家康の密書」もおもしろいのです。
家康の狡知な行動と福島正則のばかし合いを描いた作品。

実は、この「神君家康の密書」には続編があって、次に紹介する【家康に訊け】に収録されている「宇都宮城血風録」へと発展していくのです。

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【家康に訊け】


最初は徳川家康が天下をとるまでを解説。
同時に現代に生きる処世術を論じていきます。

ですが、ここまではその後の物語を読むまでのウォーミングアップ。

この本でいちばんおもしろいのが、「宇都宮城血風録」
先に紹介した【神君家康の密書】が伏線となった続編のような物語です。

もちろん、【神君家康の密書】を読んでいなくても大丈夫。
単独でも充分におもしろいですよ。

で、この「宇都宮城血風録」はさらに続編ともいうべき小説があります。

【秘録 島原の乱】

続けて読むことをおすすめします。
一連の作品では、登場するキャラクターが関連していて、今まで加藤作品になかったような風味が加えられている楽しい作品です。

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「桶狭間の戦い」のミステリー。【空白の桶狭間】


「本能寺三部作」を読んだあとは、【空白の桶狭間】がおすすめです。

この作品は、「桶狭間の戦い」にスポットを当てて、信長が覇道をいくきっかけを描いています。

【信長の棺】や【秀吉の枷】にも描かれていた伏線が、この【空白の桶狭間】で回収されて、読了後に妙にホッとした覚えがあります。

秀吉が出世していくきっかけの作品でもあるので、一度読んでおきたい作品ですね。

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桶狭間アイキャッチ

「本能寺三部作」の外伝的小説2冊

「本能寺三部作」には、番外編的な作品がいくつかあります。
実際には、登場人物や設定は統一されているので、全部の作品が派生作品のようにもみえますね。

とくに「本能寺三部作」に関わりが深い2冊を紹介します。

【信長の血脈】


短編4作品が収録されています。

平手政秀の証
伊吹山薬草譚
山三郎の死
天草挽歌

それぞれ【信長の棺】を執筆するときに取材したことを物語にしています。

私が印象に残ったのは、「天草挽歌」
【明智左馬助の恋】に登場する人物が主役になっています。どの短編もおもしろいのでぜひ読んでほしいです。

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清州城とタイトル

【安土城の幽霊】


こちらは短編3作品が収録。
サブタイトルが「信長の棺 異聞録」となっている通り、本能寺三部作に収まりきらなかったエピソードを描いています。

この作品では、戦国覇者たち(信長・秀吉・家康)の素顔を垣間見られるおもしろい作品です。

リラックスして読めるので、難しい小説の間に「箸休め」敵に読んでみるのもおすすめですよ。

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千利休と秀吉【利休の闇】


千利休と秀吉の関係を「茶会」記録から読み解いていく新しい物語。

秀吉と利休はどこですれ違ってしまったのか、読みどころは「山上宗二」。
利休の弟子なのですが、彼の行動には目が離せませんよ。

「茶の湯」についても詳しくなれそうです。
【安土城の幽霊】に収録されている「つくもなす物語」を読んでおくと、より楽しめるかもしれませんね。

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戦国最強の水軍の行く末【水軍遙かなり】



違った角度から見る戦国時代の物語です。

日本の戦国時代の16世紀といえば・・・、世界は「大航海時代」真っ只中

海辺の豪族の子として生まれた九鬼嘉隆は、下剋上で信長に認められ大名にまで成り上がります。

その子・守隆の物語
信長・秀吉・家康に大名として仕えた九鬼守隆の処世術。

あまり読んだことのない戦国時代の物語で興味深いですよ。

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水軍遥かなり

島原の乱と豊臣家の関係を暴く。【秘録島原の乱】


「神君家康の密書」

「宇都宮城血風録」

「秘録島原の乱」

この順番で読むとより一層楽しく読むことができるはず!

関連する人物として【明智左馬助の恋】に登場する左馬助の息子が活躍する「天草挽歌」(信長の血脈に収録)も読んでおきたいですね。

伝説を物語として成立させるところがおもしろいんです!

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秘録島原の乱

仕組まれていた「巌流島の戦い」【宮本武蔵】


↑「求天記」の文庫本が【宮本武蔵】上下巻です。 

他の作品ではあまりなかった「大阪の陣」が描かれています。
それも、宮本武蔵を通してみた冬の陣、夏の陣。

どんな風に描かれているのかは、読んでみてくださいね。

みどころはやっぱり佐々木小次郎との決闘「舟島(巌流島)の戦い」
いろんな人物の思惑がこの決闘に渦巻いていたのです。

ちょっとミステリー仕立てになっているので、おもしろいですよ!

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刀を握る

最後に。

桜が満開の上田城

加藤廣さんの描く歴史上の人物たちは、なんとなく悲壮感があんまりないんです。
どうしても、戦国時代を描く小説には、悲壮感がつきもの。
それがあんまり感じない、サバサバした感じなのです。

私が好きなのは、そこなんです。
登場人物に入り込みやすいのに、その人物が淡々として潔い。
ベタベタ、ウジウジしない。

小説を読んでの感想は人それぞれですが、私は加藤廣さんの作品たちはどれもみんな「おもしろい」と感じました。

血縁・婚姻関係も詳しく解説されているので、戦国時代の流れもよくわかりやすいので、歴史に詳しくない方、歴史小説を初めて読む方にも自信をもっておすすめできますよ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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関ヶ原アイキャッチ
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