こんにちは。ケンスケです。
子供の頃に読んだ本で今でも印象に残っている本。
【ファーブル昆虫記】
メチャクチャおもしろくて、学校の図書館で読みふけっていたのを今でも覚えています。
中でも強く記憶に残っているのが「フンコロガシ」(オオタマオシコガネ)を観察した章。
日本にはいない昆虫で、その生態に驚き、何度も読み返した記憶があります。
当時、「わくわく動物ランド」というテレビ番組があって、大好きでよくみていたのですが、「フンコロガシ」が紹介されたことがありました。
フンコロガシが動物のフンを丸めて、逆立ちして転がす姿に興奮したのを覚えています。
思えば私が、動物やムシを好きになったのはこの【ファーブル昆虫記】がきっかけだったのかもしれません。
今日はそんなファーブル昆虫記を紹介していきたいと思います。
『「ファーブル昆虫記」ってどんな本?むしの「謎解き」を楽しめる本!』
○ムシに興味がある人
○動物や自然が好きな人
○アウトドアの趣味をもつ人
○生き物を通して自然を感じたい人
○現代の地球環境に危惧を抱く人
○小学生や中学生
○子供を育てている大人たち
「むし」を観察した記録!
フランスの学者ファーブルが「むし」を観察して、その生態を研究した本です。
タイトルは「昆虫記」ですが、実は昆虫以外のむし、クモやサソリも収録されています。
すごく古い本でファーブルが第1巻を出版したのが1878年。最後の第10巻を出版したのが1907年。
もう100年以上前の作品です。
私も子供の頃、アリの巣の出口をじーっと観察していた記憶がありますが、ファーブルは身近なむしたちの観察を何十年も続けてこの作品を出版しました。
例えば、クモが巣を作る様子を一晩中観察して、その謎を解き明かしたり、シデムシが獲物をとらえる様子から動物の死骸を埋葬する方法を観察したり。
↑シデムシ
大人になった今でも読んで楽しい話ばかり。
私たちが自然でみている「むし」の姿はその生態のちょっとした一部分であって、生態のほとんどを知らなかったのです。
シデムシは「動物の死骸に集まるちょっと汚い虫」だと思っていたのが、ファーブル昆虫記を読むとまた見方が変わってきます。
ファーブルが身近な虫たちを観察して執筆している間、日本はどんな状況だったかというと・・・
幕末~明治維新
日本人が「尊皇攘夷」(そんのうじょうい)といって、外国人に切りかかっていた時代です。
まだまだ日本では昆虫が研究対象としてみられていなかった時代に、このファーブル昆虫記が生まれました。
現代でも昆虫を観察する入門書としておもしろい本です。
「むし」の文学作品としてもおもしろい。
ファーブル昆虫記が子供にも読みやすい理由は、格式張った論文形式でないことでしょう。
主役はもちろん昆虫なのですが、実はファーブルが「むし」の謎を解き明かす推理小説のように構成されているのです。
まず仮説をたてます。
それを証明するためにどんな条件にむしを置くか。
試行錯誤しながらすすめる観察に読者はどんどん引き込まれていきます。
それもそのはず、なんとファーブルは数学と物理学の学士号をもっていて、物理の教授にもなった人物なのです。
なので、物事を論理的に捉えること、観察して考察することは得意だったのでしょう。
【ファーブル昆虫記】では、昆虫の生態を読んでいるようでいて、読者はファーブルになったつもりで謎を解き明かしている気分になってくるのです。
他にも昆虫を擬人化することで、交尾や子育て、捕食などの生態をわかりやすくしていて、読んでいても難しい「科学書」という印象は全く受けません。
ファーブルはノーベル文学賞の候補に上がったこともあります。
世界中で翻訳され、現代でも多くの人々に影響を与えているのは、こういった読ませる文章のうまさから来ているのかもしれませんね。
ファーブルってだれ?
ジャン・アンリ・ファーブル(1823~1915)は、南フランスの山村に生まれました。
生活は貧しかったのですが、ファーブルは勉学に励みます。
小学校や中学校で教師として仕事をしながら、昆虫に魅入られます。
数学・物理学の学士号、博物学の博士号をもつほどさまざまな分野でも造詣は深く、勉強家だったことがうかがえます。
そんな中でも昆虫の生態を観察し続け、54歳のときに「ファーブル昆虫記」第1巻が誕生します。
最後の第10巻を書き上げた年齢は80歳を超えていました。
ファーブル昆虫記の特徴は、「むしの行動の意味」を知るための方法を独自で考え、実践することのおもしろさにあります。
もちろん、昆虫の生態自体も興味深く、読んでいて楽しいのですが、自分の疑問を自分で解決する手段を身近な題材で教えてくれる本なのです。
ファーブル昆虫記に関する作品は多い!
【ファーブル昆虫記】は、たくさんの人に翻訳された作品でもあります。
本だけではなくマンガでも【ファーブル昆虫記】が作品化されています。
最近になって読んだ本は、岩波書店が出版している大岡信氏が翻訳した【ファーブルの昆虫記】
全巻のなかのいくつかの話が抜粋されて収録されています。
私が好きな「サソリ」の話や「ツチスガリ」の話も収録されています。(もちろんオオタマオシコガネの話も!)
上巻下巻に分けられていて、ボリューム的にも手頃です。
翻訳も読みやすく書かれているのでおすすめですよ。
全巻制覇してみたい!っていう方には、奥本大三郎氏が翻訳した【完訳ファーブル昆虫記全10巻】というのがあります。
全10巻といっても、1巻が上下2冊になっているので全部で20冊になります!
最後に。
【ファーブル昆虫記】は小学生にも中学生にもおすすめの本です。昆虫の知識だけではなく、動物を観察する「動物行動学」の方法論を学べます。
「学ぶ」というと難しく聞こえますが、実際にはおもしろく読み進められるので小学生でも楽しいはずです。
私がいちばん印象に残っている話が「ツチスガリ」というハチの話。幼虫のためにエサを新鮮な状態で保つために行う処置の秘密をファーブルが解き明かす話です。
ツチスガリの巣から見つかる昆虫の種類が少ないことに気づいたファーブルは、持ち前の推理力と観察力、実験によって謎を解明していく過程は、推理小説を読んでいるようです。
大人でも楽しく読める作品なのでぜひ読んでみてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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