【「池の水」抜くのは誰のため?】読んでみたら生物多様性を考えさせられた!

こんにちは。ケンスケです。

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最近、外来生物や生物多様性に関する話題が増えてきていますね。
世間でも生き物を大切にする風潮が高まってきているようです。

現代では、むかしよく身近に見られた生き物たちが環境の変化によってあまり見かけなくなってしまうことも多々あります。

そこで、「生物多様性を取り戻そう!」という風潮になるのですが、そこにはいろいろな要素が絡み合います。

遺伝子の撹拌
動物愛護と環境維持の軋轢
放流による環境変化


私たちが「環境のため」と思ってしていた行動が、「実は環境を悪化させていた!」な~んて事例も。

私も昆虫や動物が好きなので、自然環境に興味を持って読んだ本があります。

【「池の水」抜くのはだれのため?】という本。

読んでいてすごく勉強になりました。
読む前は、絶滅危惧種は人工的に繁殖させて自然に返せばいいじゃん!な~んて安易に考えていました。

そんなに簡単なものではないのですね。
多くの人に読んでみてほしい本なんです。

「生物多様性」を考えさせるものですが、肩肘を張らなくて大丈夫。読みやすい本です。

【「池の水」抜くのは誰のため?】読んでみたら生物多様性を考えさせられた!

 

こんな人におすすめです!
「生物多様性」を知りたい。
地球環境に興味がある。
昔みた生き物を最近見かけなくなったと感じている人。
ガーデニングが好き。
生き物が好き。
飼っていた生き物を放してしまったことがある。

安易な放流は生物多様性の減少を助長する?!

テレビのニュースなどでたまに見かける「放流」。
少なくなった生き物を自然に還す取り組みです。

でも、ちょっと待って!
その生き物たち、そこに放していいの?

著者は放流される生き物を通して、地域の「生物多様性」を説明しており、安易な放流に警鐘を鳴らしています。

遺伝子が撹拌される?!

まずは、遺伝子の問題。
同じ種類の生き物でも棲んでいる地域によって、ちょっとずつ姿や形、生態が違うことがあるのです。

私が好きなヒラタクワガタは日本全国いろいろな場所で見られますが、産地によって微妙に大アゴの形が違っているのです。

もちろんおなじヒラタクワガタなら交雑が可能です。
ってことは、別の地域に放してしまったヒラタクワガタは、その場所に棲んでいるヒラタクワガタと交雑してしまう可能性があるのです。

そう、遺伝子が交雑してしまい違う種類のヒラタクワガタになってしまう可能性があるわけです。

昆虫ブリードの世界では、産地が細かく明示されていて、飼育しているものであっても交雑は推奨されていません。

その地域固有の遺伝子を守るためにも地域外から持ち込んだ生き物を放流することに警鐘をならしています。

他の生物への影響

次に放流された地域への影響です。

生き物はその種だけで生存や繁殖が成り立っているわけではありません。
「食物連鎖」ってやつです。

ある種が大量に増えるとその生き物が食べている生き物、植物が激減します。
それにつれて、放流された生き物とライバル関係にあった生物も激減します。

次に起きるのは、激減した生き物を捕食していた生き物も激減しますよね。
逆に放流した生き物を捕食していた生き物が増えることになります。

こうして、微妙なバランスで成り立っていた食物連鎖を変える恐れがあるのです。

「もともと減少していた生き物を放流するのだからいいじゃないか。」

といわれそうですね。
でも、「食物連鎖」は、一つの鎖(くさり)ではなく、「網目」(あみめ)のようになっているのです。

ひとつの絶滅危惧種を救えても、他の種が絶滅してしまったら元も子もありません。

放流した生き物の生存率

さらには、放流した生き物が今の環境で生きていけるかっていう問題もあります。

減少した理由が「生息環境の悪化」だった場合、放流したところで生きられないこともあるわけです。

さらに、減少した理由が「外来生物の捕食」だった場合、安易な放流によって外来生物のエサを増やす結果にもなりかねないのです。

放流全部が悪いことではない!

放流について悪いことばかり注目しましたが、うまくいっている事例も紹介されています。

いろんな分野の専門家が意見を出し合って、しっかりとアセスメント、さらには放流後の経過観察を行いながら取り組むことで、うまくいくこともあるのです。

ただし、経過観察は長期にわたって行う必要があります。
生き物の種類によっては何世代もあとに影響がでることがあるためですね。

なので、私たちが安易に生き物を野に放ってはいけないのです。

動物愛護と生物多様性

野生ネコの問題です。
希少種を抱える島の環境保全とイエネコの野生化について紹介されています。

野生化したネコは捕獲能力が強く、島の希少種を捕食して減少させています。
一方、希少種を守るために帰化した野生ネコの捕獲と捕獲したネコの保護で動物愛護団体との軋轢がでているというのです。

捕獲されたネコを守りたい愛護団体。
希少種と環境を守りたい島。

ひとりでも多くの人にこの問題を知ってもらって、日本全体でこの問題に取り組めるといいと思いました。

SNSの普及と希少生物の環境保護

動物を愛する人たちが生き物の繁殖の機会を奪ってしまった事例を紹介しています。

最近ではスマートフォンの普及とともにSNS(ソーシャルネットワークサービス)も大きく普及してきていますね。

携帯電話やスマートフォンにカメラ機能が付いたことで日常的に写真を撮る機会も増えました。

人は日常と違った場所に行くとどうしても写真を撮って人に見せたい欲求に駆られます。
とくに珍しい生き物に出会ったらSNSにあげたくなるのもわかります。

でも、ちょっと待って!

まず、希少な生き物は人気があります。
それが飼育可能なものの場合、採集したいと思う人が出てくるのです。もしかしたら高く売るために業者が採集に来るかもしれないのです。

そう、「乱獲」が起きる可能性があります。

わかっている方は場所を特定できないようにしていますが、あまり詳しくない人はご丁寧に「この公園のこの木で撮りました!」なんてコメント付きでのせてしまっていることも。

さらに、野鳥を撮影するために巣に近づきすぎて、警戒した野鳥が産卵をやめてしまう事例も紹介されています。

自然との距離についても考えさせてくれます。

帰化した外来生物と食物連鎖

現代ではいろいろな場所で外来種が問題になっています。
とくに帰化して長い期間が経過してしまっている種類に関しては、日本の生態系に入り込んでしまっているものもいます。

ここでその外来種を駆除してしまうとどうなるのでしょう?

答えは、

わからない!

のです。

うまくいくかもしれないし、逆に外来生物を捕食していた在来種を絶滅に追いやってしまう可能性だってあるのです。

雑木林で出会った珍しい生き物たちを紹介した記事です。

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最後に。

【「池の水」抜くのは誰のため?】では、いろいろな角度から生物多様性と生態系に焦点を当てています。

小さな生物が環境を大きく変えてしまう事例や生き物を大切にする気持ちが生んだ人どうしの軋轢などが紹介されています。

私たちが知らずにやってしまいそうなことも意外に生物多様性を壊す可能性があるってこと。この本を読んで初めて知ったという人もいるのではないでしょうか。

副題に「暴走する生き物愛」ってつけられていますね。

私たちが知らずにやってしまったことの他にも、作者がいう「ダークサイド」になってしまった人々の行動を通して、私たちも「生物多様性」「生態系」について学んでみる必要を感じさせる本です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

生物多様性をもっと詳しく知りたい人におすすめ。

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