家康の処世術。天下をとるまでの軌跡から学べ。【家康に訊け】加藤廣著

こんにちは。ケンスケです。

徳川家康

 

戦国時代の処世術は、いつの時代もお手本にされていますね。
信長・光秀・秀吉・家康・・・天下をとった英雄から、それを支えた脇役たち。

さらには、英雄たちと天下を争ったライバル、

毛利元就・武田信玄・上杉謙信・・・

それぞれにドラマがあっておもしろいですね。

今回はその中でも「徳川家康」に焦点を当てた本。

【家康に訊け】加藤廣 著(新潮社)


前半は、徳川家康の天下取りと現代における処世術を関連させた視点で書かれています。

著者の加藤廣氏は、経営コンサルタントとしても優秀だった人物。
そんな著者が家康の天下取りをどのように見ていたかはなかなかおもしろいですよ。

後半は、趣がずいぶん変わって、歴史時代小説。

それも!

謀略あり、アクションありのエンターテイメント小説なんです。
これだけでも充分おもしろい!

加藤廣氏の戦国ワールドは本作でも全開!

それではご紹介していきましょう。

家康に訊け!

家康の処世術。天下をとるまでの軌跡から学べ。【家康に訊け】加藤廣著

こんな方におすすめの書籍です。
〇徳川家康の生い立ちと性格を詳しく知りたい。
〇自分が出世するのに「遠回り」していると感じている。
〇家康がどうやって天下をとれたかを知りたい。
〇戦国武将の処世術を現代でも活かしたい。
〇福島正則の物語も読んでみたい!
〇かたい話ばかりだけじゃなくてエンターテイメントも読みたい。

それでは、いってみましょう。

元経営コンサルタントが語る天下取り経営術

ビジネスマン

著者の加藤廣氏は、元敏腕経営コンサルタント。
75歳で【信長の棺】で作家デビュー、ベストセラーになった経歴の持ち主です。

これまでの本能寺三部作といわれる作品で、信長・秀吉・光秀を描いています。

関連記事「本能寺三部作」紹介記事

関連記事

こんにちは!ケンスケです!昨日テレビを見ていたら、「明智光秀は近江の国出身だった!」という話題をやっていました!みんなが知っている「本能寺の変」現代、いろいろな学者の方たちがたくさんの説を唱えています[…]

信長の棺 表題
関連記事

こんにちは。ケンスケです。戦国時代、信長が「本能寺の変」で自刃してから、疾風のような速さで権力を握った秀吉。どうやって、権力を手にしたのか。天下を統一した後の秀吉の苦悩。天下統一後、ともに出世した配下たちをなぜ遠ざけ[…]

関連記事

こんにちは!ケンスケです!「本能寺の変」。歴史好きの方はな~んかドキドキするテーマですよね。今回紹介する小説は、加藤廣さんの「本能寺の変」三部作のひとつ。【明智左馬助の恋】加藤廣著(文春文庫)【信長の棺】【秀[…]

明智左馬助の恋アイキャッチ

徳川家康は「本能寺三部作」の中すべてで登場してくるのですが、なかなか喰えないキャラぶりを発揮しています。

「本能寺三部作」の外伝的な作品の中でも登場して、重要な人物になっています。

そんな徳川家康がどんな風に天下取りに向かうのかっていう視点から、現代に生きる学びにしようという作りになっています。

葵の御紋

なんで、家康なの?

って思っちゃいますよね。

詳細は本作品に譲りますが、現代の日本における立ち位置と戦国時代当時の徳川家の立ち位置が似ているのです。

加藤廣の作品をいくつか読んでみての私の勝手な印象は、

作者は、

信長→あんまり好きじゃない
秀吉→まぁまぁ好き
光秀→好き
家康→どちらともいえない

こんな感じではないかと思うのです。

戦国の下剋上の時代から一転、他勢力を懐柔しつつ、叛乱の目を摘み、300年にもわたる太平の世を築いた家康。

その方法論に私たち現代人も何かを学んでみてはいかがでしょうか。

信長軍団の武将を性格分析!【信長軍団に学ぶ処世の法則】

関連記事

こんにちは。ケンスケです。あの【信長の棺】の著者・加藤廣がビジネスマンに贈る処世術を書きました。それも、信長軍団を題材にしているんです!【信長軍団に学ぶ処世の法則】著者の加藤廣さんはもともと山一證券に勤めていたサラリ[…]

信長軍団に学ぶ処世の法則

徳川家康の「生い立ち」がよく分かる!

竹千代時代の家康

私は「戦国時代好き」なんですが、実は恥ずかしながら、徳川家康についてあまり詳しくなかったのです。

で、この作品では、徳川家康の生い立ちについて、けっこう詳しく書かれています。

今川家の人質として育った経緯とか、織田信長との関係とか、秀吉との確執とか・・・。

さらには、

駿河・遠江の今川家
甲州の武田家
相州の北条家
尾張の織田家

列強諸国に囲まれながらも、最後まで生き残った戦術。

私が今まで読んできた小説は織田家目線のものが多かったので、目新しく楽しく学びながら読むことができました。

登場人物もそれほど多くなく、簡潔にまとめられているので、家康初心者には嬉しいです。

さらに、秀吉没後は家康の動きが活発になる時期。

関ケ原古戦場

「関ケ原の戦い」をプロデュース

大坂冬の陣

大阪夏の陣

執拗に豊臣家を挑発して、天下取りの野望をむき出しにするところまでを解説してくれています。

戦国時代の終わりってなかなか知らないことが多かったので、非常に分かりやすく読めました。

これまで加藤廣の戦国ワールドを読んできた方も、初めて加藤廣氏の作品を読む方も興味深く楽しめますよ。

松平元康(のちの徳川家康)は「桶狭間の戦い」でどう動いたのか?おもしろい小説【空白の桶狭間】の記事もご一緒にどうぞ。

関連記事

こんにちは。ケンスケです。織田信長が天下を目指す転機となった戦い、「桶狭間の戦い」あなたも御存知の通り、駿河の今川義元率いる大軍を織田信長軍が寡兵(少ない兵力)で破った戦闘です。ただし!歴史家の間では、こ[…]

桶狭間アイキャッチ

司馬遼太郎の【関ヶ原】は家康がどうやって「関ヶ原の戦い」を制したのかが理解しやすいです。

関連記事

こんにちは、ケンスケです。「関ヶ原の戦い」みんなが知っている日本を二分して、天下を争った合戦ですね。ですが、詳細を分かっている人は意外と少ないんです。・・・実は私もそのひとり!なんとな~くは分かっているつ[…]

関ヶ原アイキャッチ

福島正則が主役!〖宇都宮城血風録〗

宇都宮城の物見やぐら

後半は、豊臣秀吉子飼いの大名「福島正則」が大活躍するエンターテイメント小説になっています。

福島正則は豊臣家滅亡後、広島に転封されるのですが、それが事件の始まり。

広島城

実は、この部分、別の小説【神君家康の密書】にある短編のひとつの作品の続きになっています。

【神君家康の密書】では、「関ケ原の戦い」直前の福島正則の葛藤(※1)が描かれています。

※1 福島正則の葛藤
福島正則は、関ケ原で東軍に味方する流れになります。ですが、福島正紀は少年時代から生前の秀吉にかわいがられ恩顧を受けています。
そこで、秀吉の跡継ぎ豊臣秀頼を押し立てた西軍(石田三成軍)と戦うことに葛藤しています。

よりおもしろく読みたい方は、【神君家康の密書】を先に読むことをおすすめします。

関連記事

こんにちは。ケンスケです。戦国時代の小説を読んでいるとよく出てくる武将。京極高次柴田勝家福島正則名前は知っているけれど、実はあんまり詳しくない・・・。よく知らないから好きでも嫌いでもないっていうところでし[…]

神君家康の密書

もちろん、〖宇都宮城血風録〗を先に読んでも充分おもしろいですよ。

で、この〖宇都宮城血風録〗

福島正則が大活躍します。
敵は小説を読んでお楽しみなのですが、かなりの強敵。
裏で糸を引くのは・・・。秘密です。

忍者あり、伝説の剣士とその弟子登場、雑賀衆の生き残り(スナイパー)の活躍ありのメッチャ楽しいエンターテイメントになっています。

加藤廣氏には珍しいアクションシーンもあります。

ぶっちゃけ、この〖宇都宮城血風録〗単体で小説にしてもいいぐらいにおもしろい作品だと感じました。

もうね、家康に興味がなかったら、この章だけ読んでもらいたいぐらいの出来です。

実際、「関ケ原の戦い」以降って、あんまり知られていないですよね。
この小説を読んで、俄然「関ケ原の戦い」以降の歴史にも興味をもち始めました。

この記事をここまで読んでくれた方なら、ぜーったい楽しめる小説なので読んでみてくださいね。

さらに!「宇都宮城血風録」の続編があります。【秘録 島原の乱】はこの作品に出てくる登場人物がまた大活躍します。

関連記事

こんにちは。ケンスケです。豊臣秀吉の子・豊臣秀頼(ひでより)。大阪夏の陣で徳川家康・秀忠親子の軍に総攻撃され、大阪城で自害したといわれています。享年23歳でした。ですが、遺体がみつからなかったこと、絶命する瞬間をみた[…]

秘録島原の乱

最後に。

読書

作者の加藤廣氏は2018年88歳で他界されています。
この作品はその直前まで書かれていたものだそうです。

〖宇都宮城血風録〗は、失礼ながら、その年齢でこんなアクションシーンが描けるのかというくらいそれぞれのキャラクターが輝いているんです。

加藤廣氏の戦国ワールドの世界観が好きで、何度も読み返しています。
ぜひ、あなたも加藤廣の戦国ワールドに浸ってみてくださいね。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

千利休と秀吉の「茶の湯」どのようにして行き違ったのか?

関連記事

こんにちは。ケンスケです。「侘茶」(わびちゃ)を確立させた人物。「千宗易(千利休)」千宗易(千利休)はどんな人物だったのか?信長や秀吉との関係はどうだったのか?宗易の目指した「茶の湯」とは?今[…]

利休の闇タイトル

本能寺三部作外伝【信長の血脈】
関連記事

こんにちは。ケンスケです!【信長の棺】【秀吉の枷】【明智左馬助の恋】作家・加藤廣の「本能寺三部作」を読破してから、ぜひ読みたかった作品をやっと読んでみました。【信長の血脈】4作品が詰まった短編集です。(f[…]

清州城とタイトル

こちらも「本能寺三部作」外伝【安土城の幽霊】
関連記事

こんにちは。ケンスケです。作家・加藤廣さんの小説「本能寺三部作」といわれる【信長の棺】【秀吉の枷】【明智左馬助の恋】は読みましたか?今回は、読んだ方もまだ読んでいない方も楽しめる【安土城の幽霊】を[…]

【神君家康の密書】家康関係のものは一気に読んでしまいましょう!

関連記事

こんにちは。ケンスケです。戦国時代の小説を読んでいるとよく出てくる武将。京極高次柴田勝家福島正則名前は知っているけれど、実はあんまり詳しくない・・・。よく知らないから好きでも嫌いでもないっていうところでし[…]

神君家康の密書

九鬼水軍の申し子・九鬼守隆の物語【水軍遥かなり】

関連記事

こんんちは。ケンスケです。戦国時代の「水軍」というと瀬戸内海の「村上水軍」が有名ですね。でも、もうひとつ、村上水軍に優るとも劣らない水軍がありました。その名も九鬼水軍九鬼嘉隆はもともと豪族上がりの戦国大名[…]

水軍遥かなり

家康に訊け!
よかったらフォローしてね!