こんにちは。ケンスケです。
戦国時代末期から江戸時代にかけて活躍した剣豪といえば!
宮本武蔵
ですよね。
宮本武蔵についてはいろんな人が物語として描いています。
多くの人が知っている強くてかっこいい宮本武蔵のイメージは、吉川英治が作ったといわれています。
ですが、描く人によって宮本武蔵の人物像が違っているんです!
今回は、多くの時代小説を手掛けた司馬遼太郎の作品、【真説宮本武蔵】をご紹介します。
『司馬遼太郎 新装版【真説宮本武蔵】は江戸時代の剣客の短編集物語』
○宮本武蔵のファン
○戦国~江戸時代について詳しく知りたい!
○剣豪小説が読みたい!
○江戸時代の剣客ってどんな感じか知りたい!
江戸時代の剣豪たちを描いた短編集
本の表題は【真説宮本武蔵】ですが、実は6人の剣客の短編集になっています。
宮本武蔵
吉岡憲法直綱
千葉周作
森要蔵
栃尾源左衛門
伊藤甚三郎
前半の三名の剣客は有名どころで知っている方も多いかもしれません。後半三名は私も本を読んではじめて知った人物たち。
大きく分けて「江戸時代」に生きた武士です。
ひとりずつ短編になっていて、収録されているのは全部で六作品。
これが、全部おもしろいんです。
私がはじめて司馬遼太郎作品を読んだのが、【燃えよ剣】。
ご存知かもしれませんが、新選組の副長・土方歳三が主人公の長編作品でした。
これがハマって、
新選組作品を読み漁る。
↓
幕末に興味を持つ。
↓
歴史時代小説に興味を持つ。
↓
百名城スタンプを始める!
こ~んな感じで好きなものや興味が広がっていきました。
きっかけが司馬遼太郎の作品だったんです。
なので、司馬遼太郎の作品は読みやすくって好きなんです。
この【真説宮本武蔵】も、読んでいくうちに江戸時代の空気をなんとなく感じられておもしろいですよ。
また江戸時代に興味が広がった気がします。
宮本武蔵を知る人物が語る実像
表題となっている宮本武蔵の人物像に迫る作品。
私も最初は、司馬遼太郎が描く宮本武蔵を読みたくてこの本を手にしました。
作品は、宮本武蔵を知る人物「渡辺幸庵」が語っている設定で描かれます。
この「渡辺幸庵」という人物。
天正10年(・・・というと織田信長が本能寺で自決した年!)に生まれて、家康に仕え、130歳まで生きたといわれています。
渡辺幸庵が語った宮本武蔵像を軸に、武蔵の幼少期から吉岡一門との決闘までを考察していく展開になっています。
吉川英治作品の【宮本武蔵】とはまた一味違った人物像が描かれていておもしろいです。
とくに武蔵の父・新免無二斎について詳しい記述があるのも興味深いです。
無二斎は武蔵が剣に目覚めるきっかけになった人物。
二人の関係性についても詳しい考察がされていて、良くも悪くも武蔵の人生に大きな影響を与えていた出来事が描かれています。
大坂の陣、島原の乱と時代が動いていく中で、幸庵と武蔵はどのように交わるのか。
最初はなんとなくとっつきにくいと感じましたが、読んでいくうちに「もっと読みたい!」っていう気にさせてくれた作品です。
武蔵の最後の姿にも注目です!
武蔵と闘った吉岡憲法直綱の物語
【真説宮本武蔵】には、宮本武蔵以外の剣客も登場します。
そのひとりが武蔵と闘った吉岡一門の長男・憲法直綱。
殆どの小説が宮本武蔵目線で描かれている中、この小説は吉岡憲法が主人公。
今日の名門であった吉岡一門は武蔵との闘いに敗れるわけにはいきませんでした。
室町将軍家に仕えてきた吉岡家は、当時の兵法家(ひょうほうか)たちの目標でした。
武芸を教えることで生計をたてていた者たち。
京で有名な吉岡一門と試合をして、勝てば名が売れて有力な大名家から仕官の声がかかるからでした。
宮本武蔵もそのひとり。
武蔵の父・無二斎は先代の吉岡憲法に勝ったと吹聴していたという因縁があったのです。
吉岡憲法直綱とその弟・又市郎は剣の実力はほぼ互角。
どちらが闘うか?
兄・直綱と弟・又市郎の葛藤が描かれていて、二人の剣客の息遣いがおもしろい作品になっています。
そして、武蔵との対決。
結果はどうなったのでしょうか。
ちなみに、司馬遼太郎はこの短編の最後に興味深いことを記しています。
武蔵の養子・宮本伊織の書いた碑文にある武蔵が闘った吉岡家の3人の人物。
吉岡清十郎
吉岡伝七郎
吉岡又七郎
吉岡家側から書かれた文献には、この3人の名前はない!
北辰一刀流の祖・千葉周作
千葉周作はご存じの方も多いかもしれません。
幕末の坂本龍馬や桂小五郎が師事した「北辰一刀流」を開いた人物です。
江戸期幕末では、多くの尊皇攘夷の志士たちを輩出した流派ですね。
本の3編目はこの千葉周作の物語。
どうやって北辰一刀流を開いたかを描いた短編です。
江戸時代の剣客好きだけじゃなく、幕末好きにも興味深い作品です。
北辰一刀流は、江戸時代末期に庶民から武士まで多くの人が門弟となった人気の流派。
その人気の秘訣となった千葉周作の教えができた過程を描く物語です。
江戸時代にやってきたスペイン人の話もおもしろい!
【真説宮本武蔵】に収録されている最後の短編。
「奇妙な剣客」
これが実は一番おもしろい作品に感じました!
ポルトガル船に乗ってきたひとりのスペイン人が波乱を引き起こす物語です。
司馬遼太郎作品は、小説として充分におもしろいのですが、その上に私が知らなかったことに興味を抱かせてくれるんです!
実際この小説に出てくる「バスク人」。
スペインからフランスにまたがる「バスク地方」に住んでいた少数の民族です。
このバスク人と日本人が、
似ている?!
というのです。
おもしろいでしょ!
それを江戸時代の剣客の話にもってきてしまうんだから。
実際にあったかどうかはともかく、すごい発想でしかも物語に破綻がなく、おもしろい展開にもってくるこの筆力に圧倒された作品です。
ちょっと「バスク人」について調べたくなりますよ!
最後に。
いやぁ、実はこの【真説宮本武蔵】は、長編小説を読んでいた合間に、息抜きで読み始めた本なんです。
読んでいくうちに興味がまた広がってきて、江戸時代や剣客、剣術の流派などなど関連の小説を読みたくさせる作品です。
ほんとに、司馬遼太郎は私の世界感を広げてくれる作品が多いです。
ぜひ読んでみてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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