司馬遼太郎【関ヶ原】天下分け目の戦いがよく分かる入門小説の楽しみ方

こんにちは、ケンスケです。

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「関ヶ原の戦い」

みんなが知っている日本を二分して、天下を争った合戦ですね。

ですが、詳細を分かっている人は意外と少ないんです。



実は私もそのひとり!

なんとな~くは分かっているつもりでしたが、詳しい経緯はよく分かっていなかったのです。

で、楽しく歴史を学ぶためには小説で読むのが手っ取り早い!

っていうことで読んだのが

司馬遼太郎【関ヶ原】


この小説は「関ヶ原の戦い」を知るのにぴったり。

関ケ原へ至るまでの経緯と合戦の状況、周辺大名たちの動向などを詳しく物語で読めるんです。

「関ヶ原の戦い」って、天下分け目といわれていますが、誰が西軍に味方して、誰が東軍で出陣したのか、わかりづらいんですよね。

大名たちは、どちらに味方するかで大騒ぎ!
戦を仕掛ける当人たちは誰を味方にするかで右往左往。

「利」をとるか「義」をとるか。

「関ケ原の戦い」でどちらにつくかで、大名家の命運がかかってくるのです。

今回は小説【関ヶ原】司馬遼太郎を読むときに押さえておきたい人物を三人紹介して、みどころを解説していきます。

司馬遼太郎【関ヶ原】天下分け目の戦いがよく分かる入門小説の楽しみ方

小説【関ヶ原】はこんな方におすすめです。
秀吉没後の天下の動向に興味がある。
徳川家康がどうやって江戸幕府を開いたかを知りたい。
信長・秀吉・家康どうやって天下が移り変わったか知りたい。
石田三成の人物像が知りたい。
島左近・直江兼続ってどんな人?
歴史に詳しくないけど、おもしろい小説を探している。
関ヶ原アイキャッチ

「関ケ原の戦い」とは?

関ヶ原古戦場

小説の舞台は、

豊臣秀吉が没するところから「関ケ原の戦い」直後まで。

ここで「関ヶ原の戦い」をおさらいしておきましょう。

「関ヶ原の戦い」

1600年9月に現在の岐阜県関ケ原であった合戦。
豊臣秀吉が没したあとに、徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍に分かれて行われました。

秀吉没後、天下人を狙う徳川家康
秀吉の子・豊臣秀頼を立てて天下を治めていこうとする石田三成

秀吉が存命時代に恩顧をうけた大名たちに、秀吉亡き後に天下をうかがう徳川家康が近づきます。

当時の大名たちは、どちらにつくかで喧々諤々(けんけんがくがく)の議論が繰り広げられます。

そんな中で、徳川家康の抑えにもなっていた

前田利家が病死

親徳川派と反徳川派の2つに分かれて、事態は天下を二分することになります。

政権の転覆を図ろうとする家康に対して、本当なら豊臣家臣団たちは一致団結して立ち向かうはずでした。

ですが、実際には秀吉の腹心だった当時の有力大名たちがこぞって、

「三成嫌い」

だったのです!

ここから時流は「関ヶ原の戦い」へと急加速。

だれがどちらに味方するのか、小説【関ヶ原】では、それぞれの大名家の物語が描かれていて、合戦に向かっていく経緯がすごくわかりやすいです。

注目は豊臣「五大老」の動向

前田利家像前田利家像

「五大老」とは、
豊臣秀吉の死後、後継者・秀頼が成人するまでの間、有力な大名たち五人で政権を支えていくよう家臣たちに依頼したもの。
現在の「内閣」のようなものでしょうか。
徳川家康 255万石
前田利家 83万石
毛利輝元 120万石
宇喜多秀家57万石
上杉景勝120万石
(もとは小早川隆景も大老のひとりだったが先に病死)

とくに徳川家康は、大老筆頭として秀頼を託された存在でした。

ちなみにもうひとつ、「五奉行」制度というのもありました。
石田三成
前田玄以
浅野長政
増田長盛
長束正家
この五人は実際の政権実務を執り行う役人のトップのような役割でした。

で、何が注目かというと、

石高や武力では、徳川家康がもっとも抜きん出ていました。
ひとりだけで200万石以上だったともいわれています。

ただし、徳川家康の突出を抑えていたのは、豊臣家で人望を集めていた前田利家。
五大老のバランスをとっていたのは秀吉ともつながりの深かった前田家だったんですね。

ただ前田利家が病没すると、このパワーバランスが崩れるんです。

そして、五大老のひとり、上杉景勝と石田三成は昵懇の仲。この二人の同盟関係が関ヶ原の戦い突入へ重要な役割を果たします。

関ヶ原の戦いまではどのように進んでいくのでしょうか。

詳しくは【関ヶ原】の物語で読んでほしいのですが、五大老のパワーバランスにも注目してみていくともっと深く楽しむことができますよ。

計算高い「徳川家康」

徳川家康像

【関ヶ原】では、徳川家康の計算高さが全開!
天下を手中に収めるために手段を選びません。

西軍を切り崩すためにさまざまな調略を仕掛けます。ここで家康の片腕になったのが、

本多正信

家康が若い頃からの謀臣です。
この本多正信の働きは、実際に戦場に立った者たちと同等、もしくはそれ以上だったかもしれません。

家康と本多正信の二人は謀議して「大名どうしの縁談」や「豊臣直轄領の分譲」によって、石田三成ら反徳川派を挑発します!

これらは、

関ケ原の戦いへと向かうための序章だったのです。

【関が原】を読んで思うのは、

徳川家康は潰したい相手を挑発するのに長けている!

どうやって三成に挙兵させたのか、西軍の切り崩しの過程などなどみどころがいっぱいです。

家康配下の家臣たちの働きもおもしろいので、注目してみてくださいね。

横柄者(へいくゎいもの)「石田三成」

石田三成の軍旗

自分の能力を認めてくれて、豊臣五奉行の地位までお仕上げてくれた秀吉に恩義を感じていた三成。

有能だけど不器用
「利」よりも「理」「義」を重んじる。
恩に対しては恩で報いる。
間違ったことや不正は許さない。

こんな性格をもっていた三成に対して、配下の島左近は、

「もっと器用に生きなさいよ。」

といいますが、生き方を変えることはできません。

さまざまな仕掛けで三成を追い込んでいく家康に対しても、

「理」

で対応していく三成。

『自分にも他人にも「甘え」は許さない』性格が、「関ヶ原の戦い」にどんなふうに影響していくのかが、物語を通して描かれています。

「関ヶ原の戦い」後の三成の行動も、彼の性格を見事に表していて私が感動したポイントです!

さらに不利と分かっていながら、三成に味方した大名や配下たち。

【関ヶ原】を読むまでは、石田三成はあまり好きではなかったのですが、こうして物語として読んでみると三成が輝いて見えてくる小説です。

三成の軍師「島左近」がかっこいい!

関ヶ原、島左近陣地

島左近は、もともと大和の国を支配していた筒井家の家臣でした。当時、主君であった筒井順慶が病没すると牢人していました。

そこに島左近の軍事能力に目をつけていた石田三成が、三顧の礼で家臣に迎えたのでした。

で、この島左近、【関ヶ原】では素敵な男なんです!

島左近の主君である石田三成は、前述したように曲がったことが大嫌いな「横柄もの」。

島左近は何度も主君をたしなめるのです。

「人の上に立つものはもっと相手の感情にも気を配らないとダメだよ~」って。

能力はあるのに人望を得られない三成に対して辟易しながらも、その三成に惚れ抜いている姿が物語のなかで印象的です。

そして、「関ヶ原の戦い」が近づくにつれて、

「このままでは負ける!」と気づいた島左近は、三成に進言します・・・。

何を進言したかについては、物語を読んでのお楽しみ!です。

歴史に「もし?」はご法度ですが、

この進言を受け入れていれば・・・とか
島左近が主君で三成がその軍師だったら・・・とか

妄想を考えちゃいますよね。

石田三成と上杉景勝は仲が良かったのですが、その二人の軍師であった島左近と直江兼続もお互いを認めあった仲でした。

【関ヶ原】の見どころのひとつは、二人の軍師が密談するシーン。
戦国ファンにはたまらない場面です。

ぜひここにも注目して読んでみてくださいね。

「歴史は勝者がつくるもの」といわれますね。
江戸時代に入って、石田三成はさんざんな評価をくだされていたのに対して、島左近は江戸時代に入っても人気の武将でした。

戦がうまいこと、また主君に忠義を尽くしたことで江戸時代の人々の心にも残ったのでしょうか。

そんなところに着目するのもおもしろいかもしれませんね。

こちらの作品もぜひ読んでおきたい小説!

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秀吉が恐れていたことが現実に。

豊臣秀吉像

豊臣秀吉が天下を統一して、日本は一時的に平和な世になったかにみえました。

が、秀吉には頭痛の種がありました。

①徳川家康の存在
②後継者問題

②後継者問題については、豊臣秀頼の誕生によって解決されたかにみえました。ですが、①徳川家康の存在についてはなかなか思うようにいきません。

小田原征伐のあと、家康を関東に移封させたても、しぶとく弱体化せず!

結局、秀吉は家康の力を削ぐことができないまま没してしまいました

その後の展開は・・・とにかくややこしいんです。
わかりやすく東軍・西軍に分かれてくれたらもっとわかりやすいのに、豊臣家内部の事情は複雑!

豊臣家の内部は、譜代の家臣たちは実は力を削ぐために地方へ押しやられたり、軽微な役につかされたりしてあまり残っていなかったのです。

黒田如水がいい例です。
黒田如水(官兵衛)は秀吉の天下統一に多大な貢献をした人物でしたが、その能力を恐れた秀吉は九州にわずかな知行で移封させられています。

秀吉が苦楽をともに過ごした家臣たちは、中央政権にはあまりいなかったのです。

一方、家康のまわりにいたのは、四天王といわれた人物(酒井忠次・本多忠勝・榊原康政・井伊直政)をはじめ、腹心の本多正信たち。

家康が今川家から独立したころから苦労をともにしてきた人物たちでした。

秀吉が生前に恐れていたこと、これに注目して本を読みすすめるのもおもしろいかもしれませんね。

秀吉の苦悩を描いた小説【秀吉の枷】も読むともっとおもしろくなりますよ!

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映像で楽しむのもおもしろい。

映像で楽しむ

【関ヶ原】は大作です。文庫本で読むなら上・中・下巻三冊のボリュームがあります。

司馬遼太郎の小説は、読んでいるうちにすぐ慣れて気にならなくなるのですが、歴史初心者の方には最初難しく感じることもあります。

そんな方におすすめなのが、

映画を観る!

2017年に岡田准一さん主演で【関ヶ原】が映画化されています。
もちろん原作は司馬遼太郎の【関ヶ原】

映画では細かな解説が入りにくいので、大きな流れだけが中心になってしまいますが、【関ヶ原】の概要を理解するには最適です。

現在では、さまざまな動画配信サービスが映画【関ヶ原】を提供しています。

TSUTAYAのレンタルサービスを利用するのもいいですね。

最後に。

石田三成の陣地

小説【関ヶ原】を読んでみたら・・・

○石田三成を見直した!
○島左近が好きになった!
○上杉・真田・宇喜多・島津も魅力的。
○直江兼続が気になる!
○大谷吉継の友情に感動。
○黒田如水恐るべし。

まだ読んでいない方には、???ですよね。
でも、読み終わったら私の感想もちょっと共感してもらえるんじゃないかと思います。

司馬遼太郎の作品には、物語の大筋とは関係のないところで「恋物語」が挿入されています。
そんなところが、物語に花を添えていて女性も楽しめる小説になっているんですよ!

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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