【近藤勇白書】池波正太郎著。新選組初心者にもおすすめできる入門小説!

こんにちは。ケンスケです。

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新選組の局長といえば、

近藤勇

ですよね。

1834年に現在の調布市がある多摩郡の百姓の家に生まれました。
剣術の腕を見込まれ、天然理心流の養子となり、「試衛館」を継ぎます。

それから江戸時代幕末の動乱の中で、仲間とともに幾多の戦いを経て、江戸幕府に貢献を認められることとなります。

【近藤勇】を描いた小説はたくさんありますが、今回は新選組、近藤勇について詳しくない方にもおすすめの

【近藤勇白書】

をご紹介していきたいと思います。

『【近藤勇白書】池波正太郎著。新選組初心者にもおすすめできる入門小説!』

江戸時代末期に生まれたひとりの剣客・近藤勇がどのように身分を乗り越えて成り上がっていったのか。

時代の波に抗いながらも、波に飲まれていった波乱の人生がおもしろく描かれています。

こんな方におすすめ!
〇新選組について知りたい方。
〇近藤勇の生涯を知りたい方。
〇夏休みの読書感想文をまだ書いていない方。
〇江戸幕末期を幕府側から読みたい方。
〇新選組が好きな方。
〇剣の道に生きた男の人生を知りたい方。



たくさんのエピソードとともにおもしろく読み進められるように書かれているので、メッチャおすすめの小説ですよ!

近藤勇の人生

 

武蔵国多摩郡の百姓の家に生まれた勝太少年。
その剣術の太刀筋を認められて、天然理心流の千葉周斎の養子となり、後を継ぎます。

剣道のイラスト

牛込にあった「試衛館」の道場で、のちの新選組幹部メンバーと出会います。

そのころ「試衛館」に現れたのは道場破り飯田金十郎。この人物は後々まで登場して物語にアクセントを加えてくれる人物です。要チェック!

私はこの頃の描写「試衛館時代」が好きです。
土方歳三・沖田総司・永倉新八・原田左之助・藤堂平助・山南敬助たちとの他愛のないやりとり。

妻・ツネとの関係の変化など、近藤勇を身近に感じる日常の光景がすごく微笑ましいのです。

そこに飯田金十郎や渡辺昇といった試衛館以外の登場人物も絡んできて物語を楽しませてくれます。

そして、京都へ。

芹沢鴨一派との確執。
土方歳三との名コンビ。
池田屋での奮闘。

新選組が時代の日向に躍り出る時期。

さらには、永倉新八らとの間に亀裂ができたり、伊藤甲子太郎らの入隊があったり・・・。

山南敬助との別れ。
新選組の分裂。
油小路の変。

新選組内でもいろんな事件を経て・・・。

大政奉還。
坂本龍馬暗殺事件。
王政復古の大号令。
近藤勇狙撃事件。
鳥羽伏見の戦い。

歴史的事件が勃発。

近藤勇はこの動乱の中で成長し、堂々と新選組を導いていきます。

その端々に近藤勇の素顔をうまく描いています。ただ事件や出来事を追っただけの小説とは違います。

飯田金十郎や渡辺昇、妻のツネや永倉新八たちをうまく使って、多方面から近藤勇の人物像が描かれていきます。

「小説を楽しみながら歴史を学べる」って感じです!

新選組創成期から甲陽鎮撫隊・流山までを網羅

近藤勇のイラスト

清河八郎が組織した「浪士隊」から新選組の創設の経緯から芹沢鴨一派と試衛館一派の確執。

主役は近藤勇です。
新選組の小説は、土方歳三が主役として描かれることが多いのですが、この物語は近藤勇が主役となってこれらの事件に立ち向かいます。

真剣での実践にめっぽう強い近藤勇狡知に長けた土方歳三のコンビがとっても魅力的です。

土方歳三像

さらには、「池田屋事件」では、この二人が別々に大活躍。

「禁門の変」「大政奉還」など歴史的事件もしっかりと解説しつつ、沖田総司・原田左之助・永倉新八・藤堂平助らもしっかり登場してきます。

「鳥羽・伏見の戦い」以降の近藤勇にも目が離せません。

時代の潮流が変わっていく中、負傷して剣がもてなくなった近藤勇はどうなっていくのか、仲間たちとの関係はどうなっていくのか。

歴史の中の近藤勇

歴史に詳しくなくても、物語を追っていくだけで幕末の時代の流れを知ることができるんですね。
幕末時代の入門にも最適です。

新選組の中で起きた主な事件にも詳しい!

誠

巨魁局長の芹沢鴨との対決
長州間者の粛清
山南敬助の脱走
高台寺党の分離
藤堂平助との別れ
油小路の変
武田観流斎の行動

などなど

新選組内部での事件も詳しく書かれているので、新選組の入門編にも最適です。

どの人物がどういう行動をしているかも物語の中で、詳しく知ることができるのでおもしろく、興味を持ちながら歴史にも詳しくなっていきますよ!

こちらの【戦士の賦 土方歳三の生と死】も読みやすくてわかりやすい新選組小説ですよ。

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ふるさと資料館にある土方歳三の絵

試衛館メンバーとの絆と亀裂。

壬生寺の境内

土方歳三・沖田総司・井上源三郎の天然理心流門下のメンバーとは良好な関係を築いている近藤勇。

山南敬助・永倉新八・原田左之助・藤堂平助・斎藤一などとの関係はどうだったのでしょうか。

【近藤勇白書】では、永倉新八との関係がクローズアップされることが多いですね。

【幕末新選組】(文春文庫)で永倉新八を主役にして小説を書いていることもあるからでしょうか。

近藤勇像

近藤勇と幹部メンバーたちは、新選組の創成期はともに闘っていく「同志」でした。

その後、活躍が認められ、幕府内での立場も上がるにつれて近藤勇の態度も徐々に変わってしまいます。

笑い合い、冗談も言い合える仲だった両者。

新選組局長として、時代の流れとともに昔のままの立場でいられなくなった近藤勇とそれを「偉ぶっている」ようにしか見れなかった創設メンバーたち。両者の間にはいつの間にか「溝」ができてしまったのです。徳川幕府が劣勢になるにつれてその「溝」は深まるばかり。

最後にその「溝」埋まったのでしょうか。

物語を読んでみてくださいね。

身分の壁を乗り越えられたのか・・・?

畑の風景

多摩の百姓に生まれて、武士に憧れていた近藤勇。

小説内で触れられてはいませんでしたが、幕府の講武所の教授方に低い身分が理由で選ばれなかったともいわれています。

本物の武士であった芹沢鴨を倒して、池田屋で武士たちをなぎ倒して幕臣に昇りつめて、念願の武士に取り立てられました。

身分の壁を壊そうとして奮闘して、その結果武士になることができたことで、近藤勇自身が「武士としての身分」にこだわってしまったのかもしれません。

それが、態度に出て、古参メンバーとの間に亀裂を生んでしまいました。

武士として、剣客として誇りを持っていた近藤勇。

本当の武士としての最期は迎えられたのか。

もう、ラストまで目が離せなくなります。

「百姓」と「武士」という身分との葛藤を描いた新選組小説はこちらです。

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花街の夜景

近藤勇の人柄描写。

天然理心流の木刀

私が描いていた近藤勇のイメージは、

無口・不器用・強い・単純・・・・

そんなイメージでしたが、【近藤勇白書】での近藤勇は、

人情味あふれていて、素朴。たまに調子に乗るちょっとお茶目な性格。

江戸での妻・ツネとのやり取り。
飯田金十郎とのやりとり。
今日での妾・おわかとその妹・お考とのエピソード
土方歳三との会話。

それぞれに人間味があって、近藤勇の魅力が存分に描かれているんですね。
それだけに感情移入しやすくって、物語に入り込みやすいです。

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最後に。

日野宿本陣

なんといっても、物語をおもしろくしているのは、

「飯田金十郎」

この人物は、たぶん架空の人物なのですが、めっちゃおもしろい人物に描かれているんです。

最初は憎たらしいキャラクターなんですが、後半にいたってはいつの間にか応援してしまっている(笑)っていう・・・。

読む際には、ぜひ注目して読んでみてくださいね。

土方歳三が主役の代表的な作品が司馬遼太郎の【燃えよ剣】だとすると、近藤勇が主役の代表作が【近藤勇白書】っていう感じでしょうか。(異論はあるかもしれませんね。)

上下巻あってなかなか長い小説なのですが、おもしろい小説です。ぜひ手にとって読んでみてほしい作品です。



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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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