こんにちは。ケンスケです。
クワガタの幼虫を飼育していて、マット交換や菌糸ビン交換のときに、
すでに蛹室(ようしつ)で蛹になっていた!
ってことありませんか?
うっかり蛹室を壊してしまったとき、焦りますよね。
クワガタは一度、蛹室(蛹になる空間)をつくるとすぐに蛹になる準備を始めます。
「前蛹」(ぜんよう)になるのです。
この時期は、幼虫から前蛹、前蛹から蛹(蛹化)、蛹から成虫(羽化)、どれも身体のつくりを大幅に変化させます。
とても大事な時期なんです。
「人工蛹室」は、蛹室やマットになんらかの問題がある場合に必要です。また、羽化の様子を観察したいときにも便利です。
なんだか難しそうだけど、やってみたら意外と簡単。
材料も安く手に入るのでチャレンジしてみましょう!
『クワガタの人工蛹室の作り方!蛹室を壊してしまったときの対処法。』
クワガタの人工蛹室が必要なとき。
①マットや菌糸ビンの劣化(黒ずんでくる)
②蛹室にキノコやカビが生えている。
③蛹室の場所が悪い。
④蛹室に十分な広さがない。
⑤マットが乾燥しすぎ。湿りすぎ。
⑥蛹室を壊してしまったとき!
国産のクワガタを飼育していると、幼虫が蛹化(蛹化)するのは「春~初夏」のことが多いですよね。(常温飼育の場合)
だいたい冬場はボトル交換(マット交換)もひかえていることが多いです。
で、春になって交換してみると・・・すでに蛹室を作っている!
っていうことがあります。
また、冬の間、マットやボトルの交換をしなかったため、マットが劣化していることもあります。
菌糸ビン飼育では菌糸が縮んで隙間に水が溜まっていることも。
気温差が大きい季節には、蛹室にキノコが生えてきたり、カビが生えてきたりすることも。
そもそも蛹室の位置が悪くて、ビンの底面や側面に大幅にかかってしまっていることもあります。
「露天掘り」や「ビンを逆さまにする」などで対応することもありますが、それでも羽化不全のリスクがある場合は「人工蛹室」が必要になります。
人工蛹室で「蛹化不全」「羽化不全」を防ぐ!
そもそも「人工蛹室」ってなに?って思う人もいるはず。
カブトムシやクワガタが幼虫の最終段階で作る「蛹室」が、何らかの理由で使えないときに、人工の材料で「蛹室」の代わりとなるものをつくります。
それを「人工蛹室」と呼んでいます。
フラワーアレンジメントで使う、ウレタンでできた硬めのスポンジ(園芸用吸水スポンジっていいます)やキッチンペーパーなどで作ることが多いです。
蛹室を壊してしまったり、蛹室や湿度に問題があったりすると起きやすいのが「蛹化不全(ようかふぜん)」と「羽化不全(うかふぜん)」。
クワガタの幼虫は蛹になるときに「幼虫の皮」を脱いで蛹になります。
また、蛹から成虫に羽化するときにも、もうひと皮むけます。
外側の皮を脱いで大人になっていくわけですが、脱いだばかりのときは非常に弱くて破れやすく傷つきやすいのです。
このときに水分過多だったり、蛹室の状態が悪かったりすると蛹になれずに死んでしまったり、うまく羽化できずに羽パカ(外側の羽が閉じない)や羽グチャ(羽にシワができる)になったりします。
うまく羽化できても過湿によってカビてしまうこともあります。
それを予防するのが「人工蛹室」なんです。
「人工蛹室」は緊急用。蛹室に問題がなければそのままが一番!
クワガタが自分でつくる蛹室は、いわば卵の中のようなもの。
機能がすごいのです。
多少乾燥気味で柔らかいマットでも自分の体液で周囲を塗り固めてしっかりした部屋を作ります。
水分が多いときには、蛹室の壁がその水分を吸収してくれます。
自然の蛹室はある程度の変化にも対応できる仕組みになっているんです。
蛹は基本、仰向け(腹側が上)の状態で過ごしているのですが、たまに回転して違う方向を向いたりします。
このときに使うのが尻にある突起。
これをうまく蛹室の壁に突いて回転するのです。
蛹室もそのためにちょうどいい大きさになっているんですね。
また、羽化したあと、うつ伏せや仰向けになって身体を乾かすことがあります。
このときにもしっかりツメが引っかかって起き上がれるぐらいの大きさになっているんです。
蛹のときに最も重要なのが「安静にすること」。
クワガタが自分で作った蛹室に問題がなさそうであれば、無事に羽化してから掘り出すほうが安全です。
「人工蛹室」は、うまく作っても本来の蛹室ほど美しく、ちょうどいい大きさに作るのが難しいのです。
人工蛹室は本来地中にあるものを、外気に触れやすい、環境変化の受けやすい地上で再現するものです。
温度変化や振動、衝撃も受けやすい状況になりますよね。
「人工蛹室」に移しても「羽化不全」の可能性はあることを理解しておきましょう。
園芸用吸水スポンジでつくる人工蛹室。
園芸用吸水スポンジは、園芸用品店で手に入ります。
切り花をいけるスポンジです。
カッターで簡単にカットできる上にスプーンでも削ることができます。
その名の通り吸水力は抜群でかなりの量を保水することができます。価格も安いのでクワガタを飼育するときはいくつかストックしておけると便利です。
使用するのは、
○カッターとスポンジを削るスプーン
○ビニール手袋とプラスチックスプーン(あると便利)
①ケースに合わせてスポンジをカット
②蛹より少し大きめに下書き
③蛹室となる部分をスプーンで削る。
④水分を含ませ指でなめらかにする。
⑤蛹を静かに入れる。
①ケースに合わせてスポンジをカット
「蛹室は安静が大事!」ということで、できればケースにぴったり収まるぐらいの大きさにカットしたほうが無難です。ケースを動かしたときに中身(人工蛹室)に衝撃や振動を与えないためです。
蛹室の深さ4~5cm必要なので高さは6~7cmは欲しいところです。
それほど力を入れなくてもカッターで簡単に切断できます。
②蛹より少し大きめに下書き
蛹室の大きさをスプーンの反対側でなぞって下書きをします。
長さは蛹の全長の1.8倍ぐらい。
幅も蛹の幅の1.5倍ぐらいにします。
※蛹は頭(大アゴを含む)を腹側に折りたたんでいるので成虫になったとき蛹室内に収まるように、大きさを想定して長めにつくるといいです。
オオクワガタのオスで長さ10~13cm、幅5~6cm
ヒラタクワガタのオスで長さ7~9cm、幅4~5cm
ノコギリクワガタのオスで長さ7~9cm、幅4~5cm
羽化して頭と大アゴを伸ばしたときよりも3~4cm大きくなるようにします。
メスはこれよりも小さくても構いません。(大アゴがオスほど大きくないため)
③蛹室となる部分をスプーンで削る。
下書きした内側を少しずつスプーンで掘り進めます。
深さは4~5cmぐらい。
ポイントは、
頭側を浅くする!
本物の蛹室は頭側が少しだけ高くなっています。
イメージは蛹室が卵のような形になるようになだらかに傾斜をつけてみましょう。
理想は頭側4cm、尻側5cmぐらいの深さですね。
難しい場合は平坦にして、スポンジの下にキッチンペーパーを厚くしたり、割り箸でかさ上げして傾斜をつけます。
このとき、周囲に「返し部分」(蛹室の天井の代わり)を少しだけつけます。(なくても可)
蛹がモジモジ動いて外に出てしまうことを防いだり、羽化後に足を引っ掛けて起き上がりやすくしたりするためです。
④水分を含ませ指でなめらかにする。
削り終えたら、吸水スポンジに水を含ませます。
スポンジが吸えなくなるぐらいまで加水しましょう。
あふれた水は捨てます。
水を含ませて指でこすると削り跡がなめらかにできます。
形を整えながら指でこすります。
(こすった後のオアシスの破片(粉)をそのままにするとディンプル(くぼみ)の原因にもなるので水で流します。)
⑤蛹を静かに入れる。
蛹を静かに取り出します。丁寧に行いましょう。
スプーン(できればプラスチックのほうが縁が鋭くない)にのせますが、蛹はモジモジ動くので必ずスプーンの下に手を添えて落とさないようにします。
取り出したら静かに人工蛹室に移して完成。
トイレットペーパー&キッチンペーパーの人工蛹室
人工吸水スポンジが手に入らなかったり、緊急の場合はトイレットペーパーの芯を基礎にして人工蛹室を作ることができます。
①トイレットペーペーの芯1/3を切り取る。
残りの2/3側を使用します。
切断した角の部分は丸くしておく(面取り)といいですね。
②ケースにキッチンペパーを敷く。
頭側が高くなるように少しだけ傾斜をつけます。
③芯にキッチンペーペーを厚くかぶせる。
尖った部分が露出すると蛹を傷つけて、体液が外にでてしまう恐れがあるので、芯の縁にガムテープなどを貼って蛹を傷つけないようにしておく。
④キッチンペーパーを湿らせる。
霧吹きでキッチンペーパーを湿らせて、蛹を移します。
ティッシュペーパーの人工蛹室。
トレットペーペーの芯もない!っていうときは、緊急用にティッシュペーペーでも代用できます。
ただし、キッチンペーペーやティッシュペーペーは濡らすと耐久性がなく、弱くなってしまいます。
クワガタの蛹の期間は約1ヶ月あるので、「緊急用」として使用しましょう。
☆羽化できないわけではありませんが、蛹が動くときに尻側にある突起を支点にして体位変換をします。
とくにティッシュペーパーの人工蛹室を作る場合はケースの側面を壁にするつもりで作成しましょう。壁がないとうまく体位変換できなかったり、羽化がうまくいかなかったりすることがあります。
作り方は簡単。
ティッシュペーペーを湿らせて、蛹よりもひと回り大きめの蛹室をつくるだけ!
既製品を購入するのもアリ!
園芸用の吸水スポンジやトイレットペーパーの芯でつくる自信がなかったり、不安があったりする場合は、既製品を購入してみましょう。
専用に作られているので安心して使用できますよ。
人工蛹室の管理。
クワガタが蛹の時期は、振動や衝撃は厳禁です。
蛹の中では、身体の器官を再合成しています。
このときに振動や衝撃が加わると、きちんと成虫になってくれません。
蛹は人の歩く振動にも敏感に反応することがあるので、なるべく静かで暗い場所で管理しましょう。
ただし、乾燥すると羽化不全しやすくなるので、乾燥しないようにラップなどをケースのフタに挟んでおきます。(いくつか空気穴を開けておかないとカビます。)
なるべく暗い状態にしておきたいので、新聞紙がいいかもしれませんね。
蛹の様子を観察したいときは静かに見守りましょう。
動かないからといって頻繁に触ることもよくありません。
クワガタ成虫の冬眠準備!
こんにちは。ケンスケです。国産のカブトムシはほとんどが寒い冬を越せずに寿命を迎えます。でも、国産クワガタの中には冬眠(越冬)をして春を迎え、次のシーズンにも活動する個体がいます。とはいっても、冬はクワガタにとって[…]
最後に。
↑もうすぐ羽化しそうなオオクワガタの蛹
クワガタの人工蛹室は、蛹室やマットになんらかの異常があるときに使用するものです。
ですが、もう一つ利点があります。
蛹の様子を観察できること。
普段は地中でちゃんと観察することが難しい蛹の状態が、人工蛹室を作ることで羽化の様子まで見ることができるのです。
蛹には安静が必要なのであまり頻繁に様子を見ることはできませんが、ときどき静かに見るぐらいなら大丈夫。
幼虫から育てたクワガタが無事に羽化してくれるとやっぱり嬉しいものですよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
クワガタを人工蛹室に入れるタイミング。
こんにちは。ケンスケです。クワガタを飼育しているときに気になっていたのが「人工蛹室」。クワガタが蛹から羽化して成虫に変化する様子を見てみたかったんです。でも、どこの飼育の方法を読んでも「蛹の時期は触っちゃダメ!」[…]
こんにちは。ケンスケです。クワガタを幼虫から羽化させるのに、オスとメスでは使用するケースの大きさや菌糸ビンの交換回数が違うこともあります。そんなとき、「幼虫のうちから雌雄を判別できたらいいなぁ。」って思います。今[…]
こんにちは。ケンスケです。昨年、繁殖に成功した【オオクワガタ】の幼虫が羽化している様子なので、掘り出してみました。1年近くにもなる幼虫期間を経て、やっと成虫になった姿は、感動的です!クワガタ飼育の醍醐味ともいえま[…]
こんにちは。ケンスケです。飼育しているクワガタ。少しでも長く生きていてほしい!自分で繁殖から羽化までさせたクワガタなら、なおさらそう思いますよね。でも、ムシの一生は短い!まぁ、短いとはいっても、国産クワガタは5年[…]
こんにちは。ケンスケです。クワガタっていろんな種類がいます。日本にいるクワガタだけで30種類以上ともいわれています。カブトムシは成虫として越冬はできないけれど、クワガタの中には越冬して次の年の夏にも成虫として活動でき[…]
こんにちは。ケンスケです。カブトムシやクワガタが蛹から羽化したら嬉しいものですよね。ついつい触ってみたり、持ち上げてみたりしてみたくなっちゃいます。でも、ちょっと待ってください!羽化後まもなくは、まだ身体[…]
クワガタ幼虫の冬眠。管理方法について!
こんにちは。ケンスケです。この夏に飼育していたクワガタが卵を産んで、「幼虫が生まれた!」っていう人もいると思います。基本的に冬季のクワガタの幼虫の飼育方法は、他の季節と変わりはありません。ですが、少し気を[…]