【絶滅の人類史】更科功著(NHK出版新書)。基礎知識がなくても大丈夫!

こんにちは。ケンスケです。

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博物館に行くとよくみかけるのが、

人類の進化の歴史を解説しているところ。

興味はあったのですが、あまり詳しくなくて解説もそこそこに他の場所へ移動しちゃったりしていました。

でも、よくUMA(未確認生物)ででてくるビッグフットやイエティ、野人などの獣人とよばれるものは、

ビッグフットのイラスト

「絶滅したと思われる人類の生き残りか?!」

な~んていわれるとやっぱりよく知りたくなっちゃうんですよね。

そこで、見つけたのがこの本。

【絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか】
更科 功 著(NHK出版新書)


ある日本屋さんをぶらついていると、刺激的な帯が目に留まりました。

ネアンデルタール人は私も知っています。

ということで、読んでみました。

『【絶滅の人類史】更科功著(NHK出版新書)。基礎知識がなくても大丈夫!』

この本はこんな方にお勧めです。

人類の進化について知りたい方
人類の歴史に興味のある方
未確認生物を探している方
類人猿が好きな方
生物の絶滅について知りたい方

それでは、レビューいってみましょう!

今まで、たくさんの人類が絶滅していた!

人類の進化

現代では人類というと私たち「ホモ・サピエンス」だけです。
でも、私たち「ホモ・サピエンス」が生まれるまでたくさんの種類の人類がいました。

人類が初めて誕生したのが700万年前、私たちが今の姿、すなわち「ホモ・サピエンス」になったのが約30万年前です。

約700万年前に人類になった祖先は、いろいろな進化をしていくつにも枝分かれしてしてきたんですね。

その枝分かれしてきた先で生き残っているのが私たち。

でも、

地球上で人類が常に「1種類」だけだったわけではありません。

約5万年前にホモ・フロレシエンシスが絶滅。
約4万年前にネアンデルタール人が絶滅。

ネアンデルタール人

共存していた時期があったのです。
実際には、同じ祖先から分かれて別々の地域で進化していったようですね。

私たちの祖先はアフリカで生まれた。

いろんな理由で一部の人類が北へ

ヨーロッパへ到達。そこでまた進化。(ネアンデルタール人

アフリカに残った人類も「ヒト」へ進化

アフリカに残った「ヒト」がまた世界へ進出。

ヨーロッパでネアンデルタール人と再会!(約4万年前)

直後にネアンデルタール人が絶滅

みたいな感じでしょうか。

生き残ったのは「頭がいいから」ではない?

脳

ヒトって、他の動物に比べると身体能力は低い方ですよね。
それでも、現在まで反映しているのは、「頭がいい」のでいろんな道具を生み出し、社会を形成して助け合うことで生き残ってきたのだと思っていました。

もちろん、それもあるんです。

が、

この本では、

「優れたものが生き残る」わけではなく、

「子孫を多く残した方が生き残りやすい」

と結論付けています。

なるほど!

確かにネアンデルタール人は、私たち「ヒト」よりも

脳が大きい。
身体も大きく、力も強い。

もしかしたら、個人の身体能力でいえば「ヒト」より上だったかもしれません。

でも、生き残ったのは「ヒト」

「ヒト」はネアンデルタール人よりも人口が多かったのです。

数が多かった「ヒト」がネアンデルタール人の住むヨーロッパに進出して、獲物や資源をたくさんとってしまいます。

数に優る「ヒト」はさらにいろいろな道具を使って、資源を手に入れますが、

ネアンデルタール人は「ヒト」に比べて、

脳や筋肉が大きい。
||
基礎代謝が大きい。
||
たくさん食べなきゃいけないので、持久力がないので狭い範囲でしか狩猟できない。

ということで、ネアンデルタール人は減少していってしまうんですね。

ネアンデルタール人は現代の「ヒト」と同等かそれ以上の脳の大きさを持っていました。

ですが、

形が違いました。
「考える」というよりも「視覚」に関する領域が大きいのです。
なんとなく「ヒト」より「野生的」のような印象ですね。

手話のできるゴリラが大活躍!「ジュラシック・パーク」の作者が描いた冒険小説。

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子供をたくさん産めたことが「生き残った秘訣」?!

たくさんの靴を干している

「ヒト」は社会で子供を育てるので、子供をたくさん残すことも可能ですよね。多くの哺乳類は、母親がほぼつきっきりで独り立ちするまで育てることがほとんどです。

哺乳類は子供が手を離れるまで、発情しないので子供を産むことができなかったりするんですね。

そして、「ヒト」は現代では世界中で2015年推定で約73億人ともいわれています。

身体能力が弱かった「ヒト」は社会を形成して、集団で子育てをしたり、狩猟をしたりすることで生き残ってきたんですね。

さらに増えた人口が、もっと大きくもっと高度な社会を形成することで生息域を拡大しています。

弱かったから直立二足歩行

弱い人類

まだ人類が現れていない頃。
人類の祖先はまだ森林に棲んでいました。
でも、力も弱く、木登りもあまり得意ではない人類の祖先は、食べ物の豊富な森林での競争に負けて仕方なく、疎林や草原へ進出してきました。

生息域を広げるっていうよりは、むしろ「追い出された!」ような印象ですね。

草原は森林に比べ、危険もいっぱい。
力も弱く、走るのも遅い、さらには武器となる犬歯もない。

そうなると・・・絶滅の危機です。

でも、そこは何事も「あきらめない!」人類は、

子供が立ち上がった

立った!

のです。

立つことで周りを見渡せるようになり、危険もいち早く察知できるようになったのです。

ミーアキャット

(ミーアキャットもよく立ち上がって危険を見張っていますよね!)

そして、一夫一婦制になることで犬歯を失った人類の祖先は、メスや子供に食物を分け与えることで生存率が高くなり、個体数を維持することに成功しました。

「人類史」っておもしろい!

ワオキツネザルが両手を広げている

今まで人類史についてほとんど知らなかった私は、この本を読むまで基礎知識ゼロでした。

とくに化石人類といわれるホモ・サピエンス以前の歴史。

名前も似ていてほっとんど覚えられない!

この本はそんな私でもわかりやすいように、うまく例えながら絶妙に人類の進化を解説していきます。

なんとなく学問の本って読みづらくって、敬遠しがちです。
ですが、この本は簡単にしかも、読みやすい文調で読み進むことができるので、通勤の電車内一日約40分を3日ぐらいで読み終えてしまいました。

こちらの本もおすすめです。「ゴリラと言葉」から人類史に迫る。⇒「ゴリラの森、言葉の海」ゴリラの生態をみながら人間の本質に迫る本!

優れていなくても生き残れる!

 

たくさんの人の上に日が昇る

なんか、嬉しいような。悲しいような。
身体的に優れているわけもなく、特別頭がいいわけでもない自分も、なんとか生きていく糧になりそうな本ですね、

「ヒト」の祖先はゴリラやチンパンジー、オランウータンよりも力が弱かった。
だから森林から出ざるを得なかったんです。

その森林から出た先でも弱い存在でした。
そしていろいろな地域へ生息域を広げていったんですね、

それぞれの環境で少しずつ適応することで、集団となり社会となり、現在の高度な社会を営んでいます。

今、
「才能がない。」「お金がない。」「力がない。」
そう悩んでいるあなた!
大丈夫ですよ。この本を読んでみましょう。

え?帯に書いてあった真相は?

 

唯一残念に感じたのが、この本にあった「帯」のコピー。

ネアンデルタール人が~~~~。

本の中には核心に迫る部分がありません。
ん~、なんとなくネアンデルタール人とホモ・サピエンスとの関係も書いてあったので、その部分のことを言っているのかなと思いますが、もっと核心に迫る解説が欲しかったですね。

たぶん、この本の内容からして、「資源の奪い合い」ってところに落ち着きそうですね。

この「帯」で、本を手にとった私には少し物足りなく感じたのも事実です。

最後に。

木の下で本を読む二人の女性

小難しいことは抜きにして、「絶滅」を知っていくことで、生き残った種の進化をみることができました。

「新書」というと難しいというイメージが先行して、敬遠しがちでしたが、この本を読むことでもっと読んでみたい気持ちにさせてくれましたね。

「人類史」に詳しい方にとっては少し物足りないのかもしれませんが、久しぶりに知的好奇心を刺激してくれる本に出会いました!
次はデニソワ人に興味をもってしまいました。

自宅での休日に。
電車での通勤に。
ひとりで過ごすカフェのお供に。

一度、読んでみてください。難しそうですが、けっこう気軽に読み進められますよ。


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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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