こんにちは。ケンスケです。
新選組の小説はたくさんありますね。
私は新選組の物語が好きで、いろいろと本を読みあさった時期がありました。
今回紹介する小説は、
浅田次郎著【輪違屋糸里】(文藝春秋)
ちょうどこの本の単行本が出版された2004年ごろが私の中の新選組ブームでした。
なので、実は単行本を持っています。
大きいのであまり持ち歩けず、ほとんど自宅で読んだので寝不足になったのを覚えています。
『小説【輪違屋糸里】女性から見た新選組!新鮮な人物像が魅力です。』
こんな方に読んでほしい小説です。
〇新選組が嫌いな方
〇新選組にあまり興味がない方
〇女性の方
〇今までの新選組小説に物足りなく感じてきた方
それでは、レビューいってみましょう。
【輪違屋糸里】の概要
ご存じの方もいると思いますが、作者、浅田次郎さんは、新選組の小説を3つ出版しています。
【壬生義士伝】(2000年)
【輪違屋糸里】(2004年)
【一刀斎夢録】(2011年)
どれもおもしろいです。〈浅田次郎新選組三部作〉っていわれていますね。
今回紹介する【輪違屋糸里】は、1つ目の【壬生義士伝】より少し前の物語。
近藤・土方率いる試衛館(近藤勇の道場)メンバーと芹沢鴨率いる水戸脱藩メンバーの確執を描いています。
今までたくさんの小説が描いてきた一場面。
それをこれだけの長編小説に仕立て上げるのだから、作者の創作力は驚嘆に値します。
もちろん、並々ならぬ取材もされたのでしょうけれど。
そして、散りばめられた浅田次郎流の解釈。
本当なら、しっかり引用して紹介したいところではありますが、この本は、実物を読んでほしいので安易な引用や要約はやめておきますね。
【輪違屋糸里】は三部作の二作目ですが、時系列でいうとこれを最初に読むのもおススメです。
女性が見た「新選組」
主役はもちろん輪違屋の芸妓である「糸里」です。
が、
糸里の親友、桔梗屋の芸妓「吉栄」
新選組屯所である八木家のおかみ「おまさ」
同じく屯所の前川家「お勝」
お勝の実家である呉服屋菱屋の妾の「お梅」
この5人が新選組の裏面を語っていく構成になっています。
(一部のみ沖田総司の一人称で描かれた部分はあります。)
女性目線ではあるのですが、語られるのは新選組の内部事情。
新選組に関わる女性がそれぞれ人物像を炙り出すように描かれるので、新選組内部を立体的に知ることができるんですね。
すごいです。浅田次郎さん。
ぶっちゃけ、ここまでの創造と構成力を発揮できるのが凄すぎます!
実は私、読みやすい小説だとかなり流し読みするタイプです。
ですが、
浅田次郎さんの小説では全くそれができないんです。
そう、熟読しちゃいます。
登場人物の心情や背景をしっかり胸に刻みたいんですね。
なんか、ひとつの文も逃したくない心境です。
しかもね、メチャクチャうまいのが!
おしゃべり熱血漢
を登場させたこと!
新選組で起きた出来事は、女性目線では説明できないこともありますよね。
そんな場面では、おしゃべり熱血漢を登場させるんですね。
おしゃべり熱血漢が独白するような形で女性たちに聞かせる。
しかも、それが不自然な説明にならないような筆遣い。
私は浅田次郎さんの作品が大好きです。
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幕末時代ならではの葛藤
浅田版新選組では、いろんなテーマが散りばめられています。
私も何度か読む中で、
少し苦悩してなにか納得できなかったり、
理不尽な幕末の世に憤りを感じたり。
作者である浅田次郎さんは、絶妙な構成で幕末時代の不条理を描き出しています。
女性 VS. 男性
流派 VS. 流派
運命 VS. 意思
剣 VS. 思い
などなど
これらを象徴する人物を照らし出すことで、対決させていくんですね。
これもみどころのひとつですよ!
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浅田次郎流の解釈がおもしろい!
紹介しておきたいことがもうひとつ。
今回の物語は「壬生浪士組」が結成されて間もない時期のお話です。
その出来事ひとつ一つに浅田流の解釈が散りばめられているんです。
例えば、「芹沢鴨」の人物像。
多くの小説では、
何事も豪快
天真爛漫
こんな風に描かれていることが多いのですが、【輪違屋糸里】ではどのように描かれているか。
なんてこともお楽しみのひとつです。
他にも、冷徹怜悧(賢くて冷たい)な土方、不器用だけど誠実な近藤勇、乱暴に見える平山五郎・・・、登場人物の人柄も嫌いになれないんです。
おしゃべり熱血漢の登場もお楽しみですね。
人物の描き方がすっごくうまいんです。
新選組に詳しい方は、人物像の描き方にも注目するとより一層楽しめます。
新選組中級者におすすめ。
浅田版新選組を読むのに注意事項があります。
浅田流解釈が深く、おもしろすぎて他の作品が事件をサラッと書きすぎているように見えてしまう!
人物像にしても、
芹沢は乱暴者。近藤は実直。新見は嫌な奴。・・・。
みたいに書かれがちですが、浅田版新選組ではそれも踏まえつつもう一段階深堀して、人物に深さを表現しているのです。
事件についても。
酒に酔って大暴れ!
みたいに書かれがちな出来事も、
浅田版では、
「実は裏で糸をひいていたのは・・・」
というように、伏線になっているのです。
なので、ちょっとした出来事も読み流しできません。
ある程度、新選組の人物像が分かっていると、浅田版新選組のおもしろさも倍増します!
こちらの小説はわかりやすく、読みやすくが特徴の新選組小説。
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最後に、感想。
読み終えての気持ちは・・・独特の読後感ですね。
主人公の糸里から見たら全員が悪者。
でも、物語はいろいろな女性目線で新選組を多角的にみているので、だれを「悪者」にしていいかわからない!
最後に糸里が下した決断。
私にはできない決断。めちゃくちゃカッコいい決断をします。
その決断は殿さまも局長もすべての登場人物を納得させるような決断でした。
あなたもどうか最後まで読んでみてください。
私にも浅田次郎さんの文章力があったら、もっと魅力を伝えられるのになぁ。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。