こんにちは。ケンスケです。
いつかは読もうと思っていた小説、吉川英治の【宮本武蔵】を読破しました。
もともとは朝日新聞に掲載されていた小説。
1935年(昭和10年)から1939年(昭和14年)まで続いた超大作です。
今から85年以上も前の作品です。
こんなに書かれてから時間が経っているのに、色褪せない!
時代小説だからということもあるのですが、今、読んでも充分読みやすい小説です。
現代の「宮本武蔵」や「佐々木小次郎」のイメージはこの小説が作ったといわれているぐらいなんです。
人気漫画家の井上雄彦氏のマンガ【バガボンド】の原作となったことでも有名で、宮本武蔵に憧れる人も多いですよね。
歴史好きなら一度は読んでみてほしい吉川英治【宮本武蔵】。
それでは紹介していきましょう!
今回もネタバレなしなので安心して読んでみてくださいね。
『吉川英治「宮本武蔵」。現代人のカリスマになった男の物語がこれだ!』
○将来の不安を抱えている人。
○おもしろい歴史時代小説を読んでみたい!
○歴史に詳しくない女性にもおすすめ。
○自分の生き方を見つめ直したい!
○のめり込む小説を探している!
○夢に向かって一生懸命な人。
誰もが納得の名作「宮本武蔵」がおもしろい!
吉川英治の【宮本武蔵】には、人情、愛情、友情、生きる力、いろんなものが散りばめられていて、読めば読むほどのめり込んでいきます。
みどころは?というと
②クライマックスへの流れ
③人物の魅力
登場人物の紹介も兼ねて、ひとつずつ紹介していきますね。
①登場人物の対比。
全部で分厚い文庫8巻。超長編です。
さぞかし登場人物も多いだろうと思っていたのですが、案外重要な人物の数は多くありません。
そのなかで、宮本武蔵と深く関わる人物たちの対比が印象に残ります。意識して登場人物たちの性格や境遇を対比させているように思います。
明と暗、日向と日陰、太陽と月、五十歩百歩・・・
いろいろな関係があって人物像の対比も見どころです。
主人公の武蔵と幼馴染の又八。
高みを目指していく武蔵に対して、又八はどんな人生を歩んでいくのか。
佐々木小次郎は武蔵と同時期に生きた達人。
お互い剣の実力は群を抜いています。
二人は剣豪として名を馳せますが、目指す場所が違いうのです。
永遠のライバルの動向にも注目!
お通と朱美は二人とも武蔵に思いを寄せる女性。
二人は幾度も危機を迎えます。
でも、二人の運命は真逆の方向へ。
城太郎も伊織も宮本武蔵の弟子になる少年。
この二人の対比もおもしろい。
天真爛漫な城太郎。生真面目で大人びた伊織。
二人が対決する場面もあるので注目です!
又八の母であるお杉。
武蔵とお通の師匠のような沢庵坊主。
この二人も武蔵の人生に大きな影響を与える人物です。
②クライマックスへの流れ
物語の宮本武蔵はとにかく人気者。
本人は放っておいてほしいのに、とにかく色んな人に追いかけられます。
味方にも敵にも。
追いかけられるのですが!
会えそうで・・・会えなかったり。
戦いそうで・・・戦わなかったり。
せっかく出会えたのに・・・別れてしまったり。
もう、焦らされまくりです。
さらに、無関係そうだった人物同士に繋がりがあったりしてそれぞれの物語がつながっていく!
何気ない登場人物も伏線になっていたりもするので、なかなかに気を抜いて読み飛ばすこともできません。
とにかく、クライマックスへの持っていき方がすごいですよ。
気を抜いて読めないので長い小説ですが、飽きさせないんです!
③人物の魅力
それほど登場人物は多くないです。
ですが、
み~んなキャラが濃い!
いい人も悪い人もでてきます。
そのそれぞれに細かい設定がされていて、人物の背景もしっかり描写されています。
メインは武蔵と小次郎の物語なんですが、その合間に登場人物たちの物語があります。
その物語では、武蔵は脇役。
4つくらいの小説を同時に読んでいけるような感覚ですね。
さらに、宮本武蔵に味方してくれる人物たちの魅力もみどころですので、要注目です。
登場する人物全員がいきいきと描かれています!
古い小説だが読みやすい!
なんと、この小説は85年も前の小説。
ふつう、むかしの小説は文体が古かったり、使わないような単語が出てきたりして、読みにくいことが多いですよね。
でも、
ぜっんぜん読みにくくない!
武蔵もお通も城太郎も夢想権之助も全く色あせてないんです。
物語の設定は「関ヶ原の戦い以降」。
400年前の設定です。
文章の流れなのか、場面描写が絶妙だからなのかわかりませんが、人物たちの動きや心情がすーっと頭に入ってきます。
昔の超長編なのに読みすすめるのが苦痛じゃないんです。
歴史小説の初心者の方にもおすすめできます。
史実じゃなくってもいい!
史実じゃない!
ってことに目くじらをたてる人も多いです。
でも、そんなの関係ねぇ~!(小島よしお風)
小説なので、脚色や肉付けは絶対にあるものです。
むしろ小説を真に受けて、「史実」と思い込んでしまう私たちがいけないのです。
事実、準主役の「お通」は実在しない人物です。
さらに、武蔵は関ケ原で西軍(豊臣方)として参加している設定ですが、実際には東軍(徳川方)に参加したのではないかといわれています。
佐々木小次郎の年齢に関しても、いろいろいわれています。
「巌流島」の闘いへの遅刻に関してもいろんな説がありますね。
とくに歴史に関するものは、後に語り継がれていくうちに意図的、偶発的に曲がっていくことが多いはず。
むしろ歴史に詳しい方々はそれらを「本当はこうだったんじゃないか!」って議論するのが楽しいんですよ。
吉川英治の【宮本武蔵】が、現代の「宮本武蔵のイメージ」をつくったといわれています。
それほど多くの人に読まれ、影響を与えた小説といえるのではないでしょうか。
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人気漫画「バガボンド」の原作
週間誌「モーニング」で連載された【バガボンド】というマンガ。
あの【スラムダンク】を描いた井上雄彦氏の作品です。
この漫画は吉川英治【宮本武蔵】が原作で、現在は休載中ですが大人気です。
現代の若い方はこの【バガボンド】で宮本武蔵を好きになった人も多いですね。
ちなみに「バガボンド」は、フランス語で
一定のところにとどまるのを好まず、転々と渡り歩く者。
(放浪者)
という意味です。
自分の住む場所だけじゃなく、現状に満足せず常に上を目指しているってこと。
吉川英治作【宮本武蔵】にぴったりのタイトルですね。
ちなみに他のマンガやゲームにも宮本武蔵は登場します。
だいたい強いボスキャラですよね~。
歴史的大局とは関係ない人間物語
歴史小説の名作というと、時代を動かした人物だったり、出来事だったりを主題としていることが多いですね。
でも、この【宮本武蔵】は、時代の流れとはほとんど関係ありません。
一人の剣豪が強くなっていく小説です。
「強さ」を求める小説というと女性には引かれがちですが、この物語は女性にも読んでほしい小説です。
宮本武蔵は、「剣」の他にも「画」「彫刻」「書」など芸術にも造形が深く、作品も残しているんです。
さらに、五輪書という書物や二天一流兵法という剣法を興す多才な人物。
そんな「武蔵に思いを寄せる二人の女性の物語」としても読めちゃう小説です。
ぜひぜひ、女性のあなたも読んでみてくださいね。
最後に。
読み始めるまでは、
分厚くてしかも8巻まである時代小説
宮本武蔵をよく知らない
ってこともあって、なかなか手に取ることができませんでした。
完全に「食わず嫌い」ってやつです。
でも、読んでみると一転、「おもしろい!」
しかも読後感もすごくよい!
宮本武蔵を題材にした小説は数多くあります。
ほかの著者の作品も読んでみたくなりました。
あなたも吉川英治【宮本武蔵】群れない孤高の剣士の世界観を味わってみてくださいね!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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