【クワガタ幼虫】「暴れ」はどうして起きる?原因と対策を考える。

こんにちは。ケンスケです。

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クワガタ幼虫が「暴れる」って聞いたことありますか?

この「暴れ」、幼虫が飼育ケースの中をメチャクチャに移動してしまう行動のことをいいます。

で、

なにが問題なのか?

というと、「体重の減少」が問題なんです。

クワガタを飼育している人の多くは、「大きな成虫にしたい!」と考えています。

クワガタは成虫になってしまうと、それ以上大きくはなれないのです。
「暴れ」による体重減少で、それまでせっかく大きく育ったクワガタが小さくなってしまうんですね。

「体重減少」だけじゃなくって、「暴れ」の原因によっては、羽化不全や生命の危機にもつながってしまいます。

暴れる原因を知っておくことで、慌てずに対処できるようにしておきましょう。

オオクワガタの顔

【クワガタ幼虫】「暴れ」はどうして起きる?原因と対策を考える。

幼虫の「暴れ」とは?

 

暴れの原因

クワガタの幼虫が飼育ケースやボトルの中を移動し続けることを「暴れ」とよんでいます。

マットや菌糸ビンの中を移動し続けるので、やっぱり体力を消耗します。

また、クワガタの幼虫はストレスを感じるとフンをします。ただの排泄物なら問題ないのですが、中にはまだ未消化のものも排泄してしまうこともあります。

そうすると起きるのが「体重減少」です。

大きく育てていたのに、余計な体力を消耗して幼虫が縮んでしまう恐れがあるんですね。

酸欠や環境が原因で暴れている場合には、生命も脅かされることもあるんです。

なので、ボトル交換をしたばかりだからって油断しないで、こまめに様子をみましょう!

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菌糸ビンで「暴れ」を起こした場合。

 

「暴れ」を起こした菌糸ビンは、菌糸部分が壊れてオガクズが見えます。掘り出してみると塊(かたまり)がなく、サラサラになっていることも。↓移動した痕

一方、通常通り食い進んだ菌糸ビンは、黒っぽい(茶色っぽい)クワガタ幼虫の排泄物の色になります。↓食痕

暴れを起こしていない場合は、だいたい2ヶ月近くかけて1本の菌糸ビンを使います。
これが、数日~3週間くらいで菌糸ビンの黒い部分が大半を占めていると暴れていると判断してもいいでしょう。

「暴れ」が起こりやすい時期。
ボトル交換直後(環境変化が激しい)
蛹室をつくる前の時期
温度変化が激しい季節

ボトル交換時の「暴れ」

交換時期が遅れた菌糸ビン

菌糸ビン飼育、マット飼育ともにボトル交換直後は注意が必要です。
なぜかというと、「環境変化が大きい」ことが原因です。

環境の変化で落ち着かない!

環境変化といっても、いくつか要因がありますね。

○温度(マットの再発酵や菌糸の活性による発熱)
○マットや菌床の硬さ・質

どちらか一方、または両方の原因が重なって、幼虫の落ち着ける場所を探し続けていることが考えられます。

エサが合わない場合も。

潜っていく幼虫

ボトル内(菌糸・マット)は、幼虫の住む場所でもあり、エサでもあります。
それが交換によって全取っ替えしてしまうと、やっぱり落ち着かない原因にもなります。

クワガタは「種親の腸内細菌を引き継ぐ」ともいわれています。
マットの種類や菌床の種類を変えることによって、うまくエサを消化できないことも考えられるわけです。

気難しいクワガタの場合は、交換時に前ボトルのオガやフンを少量入れてあげることで落ち着きやすいですね。

ボトル交換時にマットや菌床の種類を変えた後は、こまめにボトルの様子をみておくことが大切です。

菌糸ビン交換時の暴れは「酸欠」の可能性も。

菌糸ビン飼育に限っての話です。
菌糸ビンを交換すると、とくに大型の幼虫の場合は、幼虫が潜っていくことで、ボトル内の菌糸が壊されます。

そうすると菌糸は再生しようとするために、酸素を消費して、熱を発生します。

酸素が少なくなるのと温度が高くなったことで幼虫は、別の場所へ移動します。
また、幼虫が移動することでまた菌糸が壊され→再生→発熱を繰り返すことで幼虫が移動し続けなければならなくなるのです。

また、「マット飼育」でも暴れて地上に上がってきてしまうような場合は「酸欠」が疑われます。

この場合は、

①通気を良くしてあげる。
通気孔を広げる。菌床に穴をあける。
②菌糸ビンを逆さにして二酸化炭素を逃がす。
通気孔を塞がないように逆さまに置くことで二酸化炭素を放出して、通気をよくしてあげましょう。

蛹室を作るときの「暴れ」

三齢後期の菌糸ビン交換

クワガタが3齢幼虫になって、2~3ヶ月も経ってくるとだんだん黄色っぽくなってきます。
蛹になる前の「前蛹」という状態へと向かっていく最中なんです。

前蛹
幼虫が黄色っぽくなり、身体にシワができてきて、足が縮こまってきます。移動はできなくなり、身体を前後に動かすぐらい。
蛹になる直前、1週間ぐらいの状態。

蛹室を作る場所を探す!

このクワガタは「前蛹」になる前に蛹室(蛹の部屋)を作る場所を探し始めます。

蛹でいる間は、移動も攻撃もできない無防備の状態が1ヶ月近く続くわけです。
できるだけ、快適で安全な場所で蛹になりたいですよね。

このためクワガタの幼虫はケース内を移動しながら場所を物色しているのです。

クワガタの種類によって蛹室を作る場所が違う!

実は、雑木林の中では、クワガタの種類によって、朽ち木の質によって、蛹室を作る場所が違っていたのです!

自然界では安全に羽化できるようにクワガタたちは、蛹室づくりを工夫しています。


朽ち木が硬いとき
成虫になったときに脱出しやすいように、朽ち木表面近くで蛹室をつくる。
脱出しやすいように、朽ち木の表面に坑道を掘って軽く埋める。
朽ち木が柔らかいとき
天敵から身を守るために、硬い部分を選んで蛹室を作る。
水分が多いとき
蛹室の傾斜を強めに作り、下部に水抜き用の坑道を作っておく。
材が硬すぎるとき
木から出て、土や土に近くなった部分に蛹室をつくる。とくにノコギリクワガタやミヤマクワガタ。

参考:「クワガタムシ・カブトムシ」吉田賢治著(成美堂出版)104ページ


蛹室は崩れないように、自分のフンや分泌物で壁を固めます。
基本的にクワガタは蛹室を横長に作ります。(日本のカブトムシは縦)

大きさは幼虫よりもふた周り大きいものです。

こうして、蛹室を作る前にケース内の菌床やマットをほぐしていることも考えられますね。

ってことは、

3齢後期の幼虫が暴れてしまった場合は、安易にボトルを交換すると、幼虫はもう一度ケース内を暴れて、体重をさらに減少させることにつながることもあります。

蛹室を作る前の時期に暴れるようであれば、落ち着くのを待つ方がいい場合があります。(蛹室をつくるための行動ともいえるため)


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温度変化が激しい。

劣化した菌糸ビン

マット飼育でも菌糸ビン飼育でも、温度変化が激しい場所や高温になる場所に置いていると・・・

マットや菌糸の劣化

菌床が劣化したり、マットが再発酵したりして、ケース内の温度や酸素不足が起こることもあります。

そうすると幼虫は居心地が悪くなり、

移動→また劣化や再発酵→移動

ってことになることも。

クワガタの幼虫を飼育する時はなるべく温度変化の少ない、30℃以下の場所に置くようにしましょう。

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暴れたときの対策

ずいぶんと説明が長くなりましたが、まとめてみましょう。

○エサが合わない。
⇒もとのボトルに戻す。なければ「マット」に

○酸欠
⇒通気性をよくしてみる。

○温度変化が激しい。
⇒置き場所を変えてみる。

ただし、このような対応をしてみても「暴れ」が治まらないこともあります。

そんなときは、思い切って

マット飼育に切り替える!

とくに3齢後期の幼虫は、菌糸の強いものを嫌うものもいるんです。
再発酵の危険の少ない二次発酵マットを使用してみると、幼虫が落ち着きやすい傾向があります。


最後に。

掘り出した幼虫

「暴れ」に関しては、飼育の熟練の方それぞれでいろんな考えをもっているようです。

クワガタの大きさにこだわって飼育するなら、「暴れ」は避けて通れない道。
ただ、どのクワガタも「蛹室を作る前に多少は暴れる」と思っておきましょう。

でも、酸欠やエサが合わないことが原因で起きる暴れは、幼虫の生命にも関わることなので注意して観察しておきたいですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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