こんにちは。ケンスケです。
夏になると人気のカブトムシ。
最近は子供だけじゃなくて、大人になって飼育を楽しむ人も増えてきているように感じます。
そこで、もうすでにご存知かもしれませんが、カブトムシのライフサイクルをおさらいしておきましょう!
なんといっても、カブトムシの魅力は「完全変態」する昆虫であること。
幼虫から成虫へと成長することを「変態」といいます。
この幼虫と成虫の間に「蛹(サナギ)」の期間があるものを「完全変態する」っていいます。
ほとんど姿・形が変わらないものを「無変態(むへんたい)」。
姿は変わるけど蛹の時代がないものを「不完全変態」っていいます。
自然を観察するにも、飼育を楽しむにも、カブトムシのライフサイクルを知っておくともっと楽しい発見があるかもしれません。
『国産カブトムシの一生。知っておきたい完全変態の不思議なライフサイクル』
カブトムシの一般的なライフサイクル
卵は10日ほどで孵化。
○大きさは1~3mm程度
○形は「たまご型」から膨らんで「球形」
○野外では6月から8月
○一頭のメスは10~60個ほど産卵
カブトムシが成虫として野外で活動し始めると、メスは交尾も産卵もできるようになっています。
メスは、朽ち木の柔らかいところや雑木林の柔らかい土を選んで産卵します。
卵から孵化(ふか)した幼虫が生存しやすいところを選んで産卵しているんですね。
卵は産卵直後は鶏(にわとり)の卵のような形をしていますが、周りの水分を吸ってだんだん球形にふくらみます。
色は最初は白。日にちがたつとだんだん黄色っぽくなってきます。
大きさは1~3mm程度。
孵化(ふか)するまでは10日~2週間ほど。
全部の卵が孵化するわけではありません。
カブトムシが卵を産むのは、7月から8月(早いと6月中)。
一年でもっとも暑い季節です。
過酷な環境のため、黒っぽくなってしまったり、カビてしまったりといくつかは自然にダメになってしまいます。
一匹のメスが産む卵の数は、10~60個。
多いと100個以上も産むメスもいます。
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長い幼虫時代を過ごす。
カブトムシの幼虫期間はなんと!
8~9ヶ月間
孵化した幼虫は、
1齢幼虫(1令幼虫)
↓(脱皮)
2齢幼虫
↓(脱皮)
3齢幼虫
2回の脱皮を経て、3齢幼虫になります。
と思ったら!・・・脱皮直後の幼虫の頭は「真っ白」なんです!
私は最初見たとき、「アルビノ」か?なんて思いましたが、時間が経つとすぐに茶色になりました!
1回めの脱皮は2週間ほど。
2齢幼虫の期間も2~3週間。
寒い冬になる前に幼虫はなるべく大きくなっておきたいのです。
冬季は幼虫にとって厳しい季節。
成長が停滞するどころか、体重が少々減ってしまうこともあります。
気温が20℃以下になってくると、腐葉土やマットを食べる量もだんだん減っていきます。
気温がさらに15℃を下回ってくるとほとんど活動しなくなります。それまでに長い冬を乗り越える体力をつけておくわけです。
冬の間は土の深いところへもぐってジッとしています。温度が高い日には少しエサも食べて、フンもしているようです。
カブトムシの幼虫でも性別を見分けることが可能です!
春になって気温が上がると幼虫たちはまた動き出して、冬場に減った体重を取り戻していきます。
気温が20℃を安定して超えてくる5月には、
「蛹室」(ようしつ)
「蛹室」とは、蛹になる部屋(空洞)のこと。
カブトムシの幼虫は、自分のフンや体液で周囲を固めて蛹室をつくります。
日本のカブトムシの蛹室は地面に対して垂直に縦長です。
一方、クワガタや外国産のカブトムシたちは、地面に対して水平に横長に蛹室を作ります。
蛹室は、木の根や石の下などの硬い部分を選ぶことが多いです。
ない場合は地中の深いところを選びます。
蛹になったら移動して逃げることができないので、防衛本能なのかもしれませんね。
蛹室が完成すると、蛹になる前の状態である「前蛹」になります。
前蛹間近になると幼虫は、白色だったものが黄色っぽい「クリーム色」になってきます。↓
パンパンに膨らんでいた表皮が、少しずつシワシワになり、大アゴも動かなくなるといよいよ前蛹です。
手足が縮まって動かなくなると、長く身にまとっていた3齢幼虫の表皮を脱いで蛹になるんですね。
(前蛹の期間は1週間から10日ぐらい)
前蛹になった幼虫↓
孵化してから8ヶ月以上してようやく蛹になれる時期がくるのです。
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神秘の蛹。
カブトムシが蛹室を作るのは5月ごろ。気温によって6月。
野外の日当たりのいい部分では少し早く、逆に日陰の多い場所ではそれよりも遅れることがあります。
さらに、飼育しているカブトムシは、大きさに関わらずケース内で同時期に蛹になる傾向があります。
羽化する時期を合わせている可能性がありますね。
同時期に羽化することで、オスとメスが出会う確立が増えて繁殖に有利になるためです。
蛹の期間は、
約1ヶ月
25℃を保つとほぼ26日前後で羽化します。
5月・6月は梅雨入りの影響もあって気温も不安定なので、屋外では1ヶ月半ぐらいかかることもあるようですね。
蛹の時期にも「色」は変化します。
白→オレンジ→茶色
↑角がまだ伸びていませんが、時間が経つにつれて伸びるんです!
だんだん色が濃くなってきます。
蛹の中身は、はじめは液体です。
一部の神経系を除く体が溶けて、蛹の殻の中で再合成されているんです。
振動や衝撃は蛹を傷つけたり、再合成を阻害してしまうので、安静にしましょう。(とくに蛹の初期!)
カブトムシの蛹については、こちらの記事でも詳しく解説していますのでご覧ください。 こんにちは。ケンスケです。カブトムシの幼虫を飼育している期間、いちばんデリケートなのが、「蛹(サナギ)」カブトムシが長~い10か月もの幼虫期間から、あのカッコいい成虫の姿に変身するメチャクチャ不思議な時期です。[…]
羽化して成虫へ。
蛹の色が濃い茶色になり、シワが増えてくるといよいよ羽化が近づいています。
羽化は夜間から朝方に行われることが多いです。
背中側の皮が破れて徐々に成虫として誕生ですね。
「完全変態」は生まれ変わるようで、いつ見ても神秘的です。
蛹の殻から出てきた成虫の羽の色は白。
羽化してからも1週間ぐらいは蛹室の中で外骨格(外側部分)が固まるのを待ちます。
蛹室内で多少動いて、ときには仰向けになって腹側を乾かしたりもしています。
この時期は「休眠」といって、動きもすごくぎこちない状態。
神経系がまだしっかりしていない証拠です。
(動物の赤ちゃんも動きがぎこちないのは神経系がまだできていないからです。)
蛹室内で休眠するのは、運動系が未発達のまま外に出ると外敵に襲われる可能性があるためですね。
身体の器官もしっかりできてくると蛹室を脱出して地上へと向かいます。
消化器官が発達するまでは、すぐにエサを食べないこともあります。
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成虫は子孫を残すために。
エサを食べ始めて1週間ほどで、交尾(ペアリング)が可能になります。
野外のカブトムシたちは基本、エサ場(樹液)で雌雄が出会い交尾にいたります。
このとき、メスを巡ってオス同士が争うこともあります。
樹液場ができるまで・・・
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メスは強い遺伝子を残すために強いオスと交尾することになるのです。
自然界で面白いのは、
「オス同士が争っている最中に、他から来たオスがメスと交尾してしまう」
な~んてことが起こるんです。「漁夫の利」ですね。
メスは一度交尾すると、何度も交尾するのを嫌がります。
そうすると何度も迫るオスがメスも投げ飛ばしてしまうことも起こります。
なんだか人間世界にもありそうな話ですね。
オスは遺伝子をばら撒くためにメスを探し続け、交尾済みのメスは産卵するために、適切な場所を探します。
こうしてメスは孵化した幼虫が成長できるような場所に産卵します。
早ければ6月末から7月初めに卵が見られることも。
産卵は何日にもかけて少しずつ生んでいきます。体力を消耗するので、途中樹液場に出てエサを摂取することもあるようです。
野外のカブトムシのオスは7割が交尾できずに生涯を終えるとの研究もあります。
オス同士の戦いに負けたり、交尾する前に天敵(タヌキ・カラス)に食べられたりするためです。
一方、自然界のメスはほとんどが交尾済みといわれています。
3割のオスがほとんどのメスと交尾しているってことですね。
子孫を残したカブトムシたちは、残念ながら次の冬を迎える前に天国へ旅立ちます。
飼育下では、真冬まで生きることもありますが、次の春まで生きることはありません。
天然のカブトムシたちはこうしてちょうど1年のライフサイクルを繰り返しています。
飼育しているカブトムシに産卵させたいときは、こちらの記事を読んでみてください。 こんにちは。ケンスケです。カブトムシは約10か月もの期間、幼虫で土の中で過ごします。約1か月サナギの期間を経て、成虫として子孫を残すために行動します。せっかくカブトムシの成虫を手に入れたんだから来年もその姿が見たい![…]
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最後に。
わずか1~2mm程度の卵が、長い幼虫期間を経て、立派な成虫になるカブトムシ。
本当に神秘的です。
「完全変態」する昆虫は多くいますが、カブトムシは観察にもピッタリ。
なんていったって「丈夫」ですからね。
大人も子供の頃に戻って、好奇心が刺激されるんです。
実際、成虫が羽化したら感動的だし、オスはカッコいいし、メスってチャーミングだし、卵から生まれた幼虫はかわいい。
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