こんにちは。ケンスケです。
クワガタを飼育していると・・・
あれ?固まって動かない!
死んでしまったのかな?
という経験はありませんか?
でも、私の心配をよそに、しばらく経つと元気に動き出していることがほとんど。
カメのように足を引っ込めて、ジッとしている姿。
でも、触覚は動いちゃったりして。
この行動、実はクワガタの立派な習性なのです。
『クワガタの「死んだふり」。採集にも役立つ「擬死」(ぎし)の習性とは?』
クワガタが「死んだふり」をする理由
ほとんどのクワガタは「死んだふり」をします。
この「死んだふり」は、クワガタの防衛本能なんです。
自分に危険が迫ると足を折りたたんで、動かないことで危険を回避しようとしているのです。
これを「擬死」(ぎし)っていいます。
クワガタを捕食するのは、おもにカラスやフクロウの仲間、タヌキやハクビシンなどの小動物。
相手が昆虫程度なら、最大の武器である「大アゴ」でたたかえるのですが…。
クワガタの住む雑木林には、下草がたくさん生えていることが多いですよね。
クワガタは、身体が重いので瞬間的に飛び上がることができません。羽を開いて飛ぶのに時間がかかるのです。
↑クワガタは飛び上がるまでに時間がかかる!
バッタのようにジャンプで逃げる脚力ももっていません。
そんなときにクワガタを狙う捕食者(採集する人を含む)が近くにきたらどうするのでしょうか?
答えは、
・
・
・
落ちる!
木の幹や枝から落下して下草の中でジッとすることで難を逃れるのです。
草の中で静かにしていれば、敵に見つかりにくくなりますからね。
機動力の乏しいクワガタにとって、理にかなった防衛・逃避の習性といえますよね。
クワガタの「擬死」(しんだふり)
クワガタの腹側にはたくさんの毛が生えています。
足(腿節)にもたくさん生えていて、さらにふたつに割れたツメの間には小さいトゲのようなものもついています。
身体や足に生えた「毛」は、樹皮などに擦れたときに生じる摩擦から身体を守る役割をしています。
さらに、この「毛」。
実は感覚器にもなっていて、空気の振動を察知するといわれています。
そして、ツメの間に生えた「トゲ」。
これは、地面(掴まった木の幹や枝)の振動を感知する器官になっています。
同じ木に天敵のカラスやミミズクが留まったときの振動を検知できるのです。
結果、逃げ足の遅いクワガタは・・・落ちる!
擬死をしているクワガタは、足を折りたたんで最大限に小さくなっている(つもり)のです。
(人も小さく見せるときに手足を身体にピッタリとくっつけますよね。)
なかなかかわいい仕草ですよね。
ただ、「擬死」の習性は、クワガタが羽化してから時間が経つごとにあまりしなくなってきます。
理由はわかりませんが、慣れによるものではなく、感覚器が鈍くなってくるのかもしれません。
長く生きたクワガタは、身体や足に生えた毛の量が少なくなります。
これは、樹皮や土に潜ったときにこすれて抜けていってしまうためです。これも擬死をしなくなってくる一因なのかもしれませんね。
この「擬死」は他の昆虫も持っている習性で、脳が関与していない「反射」によるものです。
ヒトが熱いものに触ったときに起こる「屈曲反射」と同じようなものなのです。
動かないものを認識しづらい「両生類」や「爬虫類」から身を守るのにも有効な反射なんですね。
運動能力・防衛能力の少ないムシほど「擬死」しやすいことが知られています。
すぐに飛んだり跳ねたりできるムシは逃げ、強いものは闘い、逃げられず・闘えないムシは「落ちる」ってことでしょうか。
「ファーブル昆虫記」ではゴミムシダマシの擬死について述べられていますね。
クワガタが降ってくる?!(蹴り採集)
ある夏の日、林間のキャンプ場でテントを張っていると近くの木からなにやらポトリ。
ドングリでも落ちたのかな?
落ちたところをよく見てみると、
ちっちゃいコクワガタのメス!
近くに私の存在を察知して、「擬死」をしたんですね。
雑木林に採集に行く人はこんな経験があるかもしれません。
木の幹に発見したクワガタ。
↓
採集しようと手を伸ばしたら!
↓
ポロリ
↓
せっかくのクワガタを見失う!
でも、逆にこの「擬死」を利用した採集方法もあるんです!
「蹴り採集」って聞いたことありませんか?
クワガタがいそうな木にキック!
↓
クワガタが降ってくる!
↓
落ちたクワガタを採集する
こんな方法があるんです。
これは、クワガタの「擬死」を利用した方法です。
キックのときは、勢いよくするのではなく、芯に響かせるようにすすのがコツです。
樹を傷めないこと!
足を傷めないこと!
危険は冒さないこと!
落ちてくるのはクワガタだけではありません。
ドングリや枯れた木の枝、葉っぱ。
他の虫も落ちてくるかもしれません。
とくに注意は、ハチ!
木に巣があったり、起こったハチが襲ってくる危険もあります。
闇雲にキックするのではなく、頭上と足元をしっかり確認してから行いましょう。
もうひとつ注意。
夜間に蹴り採集をすると・・・、落ちたクワガタを見つけるのが大変。
こんな理由から、昼間に活動するクワガタ(ノコギリクワガタやミヤマクワガタ)によく使われます。
SNSで十匹以上落ちてきた画像もみたことがあります。
地面が整地されていると見つけやすいです。木の下に白い布を敷いてやるのもいいですね。
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「擬死」を見抜く方法
クワガタを飼育していて、普段のエサ交換や加湿のために飼育ケースを開けるとクワガタが足を縮めて丸くなっていることは多いですよね。
危険を察知して、「擬死」しているのでしょう。
ただ、中には本当に死んでしまっていることもあります。
①擬死(死んだふりをしている場合)
↑「擬死」の基本姿勢。ちょっと中足が開いていますが。(オオクワガタ)
すべての足を折りたたんで体側にくっつけます。
写真のオオクワガタは中足が少し離れてしまっていますが・・・。
基本的にジッとして動きませんが、しばらく様子をみていると周囲をうかがっているのか、触覚が動き始めます。
動かないときは触覚に触れようとしてみましょう。(アゴにはさまれないようにね!)
触覚をたたんで逃げようとするはず。
擬死をしている場合、しばらくそのまま置いておくと動き始めます。
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②冬眠(低温下で動きが鈍い場合)
力なく、足は伸ばしたまま。
ほとんど動かないので死んだように見えますが、登り木に捕まらせるとちゃんとツメは引っかかるはず。
たま~になんらかの要因で「仮死状態」のようになったクワガタがこのようになることがあります。
死んだと思って、捨てたり、どこかに埋めたりしないようにしましょう。
③死んでいる場合。
足を折りたたんでいるというより、拘縮して固まってしまっている。
基本、屈曲(足を曲げる方向)側のほうが筋力が強いので、脳からの命令がないと足が曲がってきてしまいます。
「擬死」のようにきれいに足が折りたたまれてはいません。
飼育していたクワガタの死骸。外に埋めないで!
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最後に。
昆虫の「死んだふり」。おもしろいですね。
実は擬死するのはクワガタだけではありません。
身近でいうとコメツキムシなども擬死しますね。
クワガタでは「木から落ちる」という逃避行動のひとつとして擬死が行われますが、他の虫たち、とくに地上に棲む虫たちはどうなんでしょう?
地上に棲む虫に危険が迫ったとき、擬死したらどうなるでしょう?
①すぐに捕まって食べられてしまう。
②気づかれずに危険を回避。
う~ん、どちらもありそうですよね。
鳥に見つかったら①の結果になりそうです。
②では動くものに興味を示すカエルやヘビに有効になりそう。
例えば群れで暮らしている虫が捕食者に襲われたとき、擬死する虫と擬死しなかった虫、どちらが食べられてしまうのでしょうか。
意外と捕食者は動いている方を追っかけてしまうのではないでしょうか。仲間を犠牲にして自分が生き残る戦法です!
「死んだふり」ってかわいい仕草だと思っていたのですが、実はしたたかな生存戦略の行動だんたんですね。
ちょっとした昆虫の行動をよ~く観察してみるとおもしろいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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