こんにちは。ケンスケです。
ノコギリクワガタは、日本ではそれほど珍しくないクワガタですね。
とはいっても、都市部に住んでいる方々は、なかなかみられない希少な種でもあります。
郊外では、林に面した道路の外灯やコンビニエンスストアの灯りにたまに飛んでくることもあります。
オスの特徴的な大アゴは「水牛」ともいわれ、人気のあるクワガタですが、メスはというと・・・、
「チャバネゴキブリ」と間違われてしまうことも・・・。
でも、クワガタが好きな方ならきっと魅力はわかるはず!
きちんと観察すると他のクワガタのメスよりもグラマーでかわいらしい外見をもっているんですよ。
そんなノコギリクワガタのメス。
どんな特徴をもっているのか、他の種のメスとの見分け方など紹介していきましょう。
『本土ノコギリクワガタのメスの特徴。茶色がかった卵型のまん丸体型!』
ノコギリクワガタってどんなクワガタ?
低地~山地中腹まで幅広い地域に生息するクワガタです。
気温の温暖化によって、高地での生息数が増えてきていて、高地性のミヤマクワガタやアカアシクワガタと競合するようになってきているようですね。
生息する場所はカブトムシとほぼ同じといっていいでしょう。
幅広い環境に適応するため、生息域も広いと考えられます。
個体数もコクワガタに次いで多いので、里山やハイキングでも見かけやすいクワガタです。
大型のオスは大アゴが湾曲し、その形状から「水牛」ともいわれます。
夜行性ではありますが、カブトムシとの競争のためか、昼間でも活動して樹液場で見かけることも多いですね。
ヒラタクワガタやコクワガタと違い、樹のウロにいるよりも木の枝の陰で休んでいるので、「蹴り採集」で落ちてくることも多いです。
オオクワガタやヒラタクワガタと違い、成虫になると越冬できずにそのシーズンで活動を終えます。
これがノコギリクワガタが他のクワガタよりも産卵数が多い理由なのかもしれませんね。
オスの身体はスマート(細長い)なために飛翔性も強く、近くの外灯にも集まりやすいです。
オオクワガタやヒラタクワガタのスタイルとはまた違った魅力があって、私はノコギリクワガタも好きな種類ですよ。
本土ノコギリクワガタのメスの特徴
ノコギリクワガタは本州の多くの地域に生息する「本土産」と離島に生息する「亜種」がいます。
離島に生息する亜種も本土産と色合いが違ったりして魅力的なものも多いです。
今回は「本土産」のノコギリクワガタのメスの特徴を紹介していきます。
色・大きさは茶系
色は黒茶~赤茶まで個体差があります。
他のクワガタは黒い個体が多いのに対して、ノコギリクワガタは「赤」「茶」が入っているものが多いですね。
大きさもかなり個体差があって、2cm~4cmほど。
形状は楕円形の卵型
上から見ると頭部から前胸背板(ぜんきょうはいばん)が連続した曲線に見えます。
横から見ると前胸背板と上翅の頭側が盛り上がっているのが大きな特徴。他のクワガタと見分けるポイントになります。
前脚の脛節(けいせつ)は直線的で先端にいくほど広がっていき、外側のトゲは大きめです。
点刻(細かいくぼみ)が無数に全体に広がります。
光沢は少ないのも特徴です。
他のクワガタよりも丸みが強くて、体高もあるのでボリュームがあるように見えます。
産卵場所
ノコギリクワガタの産卵は「根食い系」といって、「朽ち木の根」部分かその周囲の土で行われます。
自然界では、地上に出た朽木ではなく、地中に埋まった朽木や根の部分に産卵していることが多いようです。
クワガタは、前脚の跗節(ふせつ)を折りたたんで、脛節をシャベルのようにして潜ります。
土に潜る種類は脛節の先端が幅広くなっています。
一方、朽ち木に潜るタイプのクワガタは、大アゴで穴を開けて掘り進むので、引っかかりにくいように直線的でトゲも小さくなっているのです。
ノコギリクワガタメスに似ているのは?
自然の中でコクワガタの次に採集しやすい(関東では)クワガタですが、意外と迷うことがあるのが次の3種。
ヒラタクワガタ
ミヤマクワガタ
違いをよく知って、採集したときに間違えないようにしておきましょう。
いくつか見分けるポイントを挙げていくので、複合的に判断しましょう。
コクワガタ
コクワガタ♀とノコギリクワガタ♀の違いを見るときは、くびれと体高をみるとわかりやすいです。
(もちろん「色」も!)
コクワガタは、前胸背板と上翅のクビレが強いのに対して、ノコギリクワガタにはクビレがほとんどありません。
横から見るとコクワガタは背部が平面的であるのに対して、ノコギリクワガタでは弯曲(山なり)になっています。
前脚の脛節はノコギリクワガタのほうが幅広いのも特徴です。
ヒラタクワガタ
意外とヒラタクワガタとの違いもわかりにくいことがあります。
ヒラタクワガタとの違いは、色。
ヒラタクワガタ♀はほとんど黒なのに対して、ノコギリクワガタ♀では、茶色~赤茶です。
前脚の脛節はヒラタクワガタは特徴的です。
ヒラタクワガタの前脚の脛節は内弯(O脚っぽい)しています。
ノコギリクワガタは直線的です。
背部もヒラタクワガタはあまり盛り上がらない(平面的)でノコギリクワガタは丸みを帯びているのが特徴。
ミヤマクワガタ
実物を比べてみるとわかりやすいのですが、採集現場で遠目では意外と見分けにくいのがミヤマクワガタのメス。
ミヤマクワガタのメスの色は黒~黒茶。
そう、茶色がかった個体もいるんです。
ただし、ミヤマクワガタは光沢があって、肌はスベスベした印象。
捕まえてしまえば見分けるのは簡単。
見分けるポイントは大アゴと裏返した腿節(たいせつ)。
ミヤマクワガタの大アゴは太くて立派。
さらに、裏返すと腿節の前面が「オレンジ色」です。
体型もミヤマクワガタにはクビレがあるのでちゃんとみてみると分かりやすいですね。
ノコギリクワガタのメスは採集しやすい?!
ノコギリクワガタは飛翔性(ひしょうせい)も強いので、よく外灯に飛んできます。
実は私も仕事帰りにコンビニに立ち寄ったときに、ノコギリクワガタのオスが外灯にいるのを見かけたことがあります。
⇒飛んで火に入る夏の虫。カブトムシやクワガタが光に集まる理由とは?
採集に行くと、だいたい捕まえられるのがコクワガタ。
で、その次に見つけられるのがノコギリクワガタのメスなんです。
もし、可能ならば雑木林のある公園の近くの道路にある外灯を周ってみるのもおもしろいかもしれません。
(公園内は採集禁止である可能性もあるので事前に調べておきましょう。)
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採集したメスを産卵セットに入れてみよう。
↑前年に採集したノコギリクワガタが産んだ幼虫が羽化した!
ノコギリクワガタは、成虫として野外で活動を始めるとその夏で寿命を終えます。
基本的には越冬できない種類のクワガタです。
寿命が短いんですね。
寿命が短くて、生息数も多いということは、産卵数も多いということ。
野外で活動しているノコギリクワガタのメスを採集したときには産卵セットを作ってみるのもおもしろいですよ。
成虫で活動しているメスは、すでに交尾済みの個体も多いので、もしオスが採集できなくても産卵する可能性があるんです。
ノコギリクワガタは、朽ち木にもマットにも産卵します。
産卵セットは、粒子の細かいマットに水につけた朽ち木を入れるだけ。
あとは、転倒防止の小枝と昆虫ゼリーを入れておけば、2ヶ月後には幼虫が生まれているかもしれません。
成虫の寿命が短いノコギリクワガタですが、こうして産卵させることで累代飼育することも可能です。
ノコギリクワガタの産卵セットの詳しい作り方はこちらの記事で紹介しています。
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最後に。
↑クワガタは交尾後、オスがメスを守るようにガードする。「メイトガード」(クワガタの「メイトガード」オスがメスを守る行動は遺伝子を残す戦略!)と呼ばれる。
ノコギリクワガタは私が好きなクワガタのひとつです。
とくにノコギリクワガタのメスはまん丸いイメージで非常にかわいいですよね。
ノコギリクワガタは1シーズンしか成虫で活動しません。
梅雨時期からお盆前までに、交尾と産卵を終えてしまわなければいけないのです。
短い期間で繁殖行動を終えるためには、早く異性と出会う必要があるのです。
そのためにノコギリクワガタの出した答えは、「活動する時期を合わせる」こと。
ノコギリクワガタは蛹室で羽化してから、そのまま半年以上蛹室にとどまっていることがあります。
「休眠」(きゅうみん)です。
この休眠期間、越冬しないノコギリクワガタとミヤマクワガタは非常に長いことがあります。(羽化した季節も関係する)
幼虫から飼育していても「いつまで経っても出てこない!」っていう印象です。
それだけに、無事に羽化して出てきてくれると喜びも大きい!
現在、わが家には何年か累代飼育しているノコギリクワガタの幼虫がいます。
今年も羽化して出てきたらまた、産卵セットを組んでみたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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