こんにちは、ケンスケです。
コクワガタは自然の中で見かけることの多いクワガタです。
私も夏場に雑木林に採集に行くとほぼ確実に採集できるぐらい生息しています。
野外で採集したコクワガタを朽ち木を埋めたケースで飼育しているといつの間にか幼虫が生まれていることもありますね。
動きもチョコチョコと活発に動いてかわいらしいクワガタです。
自然の多い地域では「普通種」といっても、都会では珍しいですよね。
実際、私も都市部に住んでいた頃はほとんど見かけられなかったように思います。
ということで、今回は「コクワガタの生活」を紹介していきたいと思います。
『本土コクワガタの生態。寿命が長くて飼いやすい!生息場所は?冬眠する?』
本土コクワガタの分布。
本土コクワガタは北海道から本州・四国・九州に広く分布しています。
さらに八丈島・屋久島・三島村・トカラ列島などには「亜種」が生息しています。
これら離島の亜種は、本土産よりも茶色が強いものが多いのが特徴です。
「種」としては同じであるものの、地理的、生態的に隔離され、形質に変異がみられるもの。
(例:スマトラトラとアムールトラ。)
「ドルクス属」という黒っぽくて平べったいクワガタの仲間の一種で、広い範囲の環境に適応できるので、「普通種」として生息数も多いことで知られていますね。
成虫の大きさ・特徴
大きさはオスで20~54mm、メスで20~32mmと決して大きくはありませんが、50mmを超えるオスは威厳たっぷりで迫力があります。
クワガタは同じ種類でも、大きさにかなりの個体差があります。体長によって、大アゴの形が違っていることもあるんです。
コクワガタのオスは大アゴに「内歯」があります。
大きい個体だと内歯がしっかりしているのですが、小さい個体だと消失しているものもいるんです。

○大アゴは細くてまっすぐ。
○大アゴの内歯は真ん中よりも先端側に一対。
○黒か茶色っぽい黒で光沢はない。
コクワガタの正式な種名は「Dorcus rectus」。
rectusは「まっすぐの」という意味で、大アゴを表しているんですね!

○上翅(硬い外側の羽)はツヤ消しで細かいザラザラ。
○上から見ると胸部が台形ぎみ。
○胸部~腹部のクビレが強め。
○脛節が真っすぐでトゲが少ない。
コクワガタの身体的特徴をまとめた記事もご一緒にご覧ください。 こんにちは、ケンスケです。コクワガタは全国的に「普通種」といわれるほど広い範囲に生息していて、自然の多い地域であれば比較的見つけやすいクワガタです。オオクワガタやヒラタクワガタ、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタはコクワガ[…]
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(関連記事;コクワガタのメスの特徴。他のクワガタメスとの見分け方。 )
本土コクワガタの生息場所。
本土コクワガタは基本的に低地性の種類で、全国の広葉樹の森林や河川敷のヤナギで見かけることが多いです。
ですが、ある程度高地の涼しい雑木林の中で、アカアシクワガタなどとともに見つかることもあります。
実は、都市部の樹木の多い公園でも生息していて、住宅地の木にいることも!
そんな地域では、夜間、住宅の灯りや街路灯、自動販売機に飛んでくることもありますよ。
雑木林では、クヌギやコナラ、ニレ、ヤナギなどの広葉樹の樹液をエサとしていますが、果物の実にもついていることがあります。
樹皮の裏側や洞(うろ)に隠れて樹液を吸っていることが多いのですが、他のクワガタがいると樹皮に張りついています。※洞:樹木に空いた穴のこと
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クワガタを採集してみよう!
本土コクワガタの生活
野外では、成虫は5月頃から活動を始めて、夏をまたいで10月頃までみられます。
5月からみられる個体は越冬や休眠をしていた個体で、新成虫は6~7月頃に活動を始めます。
成虫が活動している間に、エサ場でオスとメスが出会い、交尾します。
交尾を終えたメスは、倒木や立ち枯れ、落ちた枝が腐朽した場所に産卵します。
産卵数は10~30個。1mmほどの卵です。
コクワガタは朽ち木に産卵したあと、産卵痕(⦿マーク)をつけます。
卵は約1ヶ月で孵化して、朽ち木の中で育ちます。
飼育下では8~10ヶ月ほどで羽化まで育ちますが、野外では1年以上かけて羽化します。
羽化したコクワガタは、蛹室の中で1ヶ月近く、身体の器官が整うまでジッと休眠します。
休眠から明ける時期が、6~7月であれば成虫の活動を開始。
盛夏以降であれば、そのまま次の春を迎えるまで休眠します。
活動を開始したシーズンで寿命を迎えるものとそのまま越冬して次のシーズンも活動する個体がいます。
活動の時間帯は、基本的に夜行性と考えられていますが、コクワガタは比較的昼間でも活動していることが多い印象です。
とくに小型のコクワガタは昼間にコメツキムシやカナブンと一緒に樹液に群がっています。
コクワガタは活動時期の重なる他のクワガタやカブトムシよりも力が弱く、性格も温和なので活動時間帯をずらすことで樹液にありつく作戦なのかもしれませんね。
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臆病な性格が繁栄した理由?!
コクワガタは温和で比較的おとなしい種類だといわれています。
ただし、「他のクワガタに比べて!」ということです。
コクワガタ同士のオスで、しかも同じような大きさ同士だとお互いに威嚇し合います。
狭いケースで多頭飼育をしているとケンカをしてしまうことは多いです。
(なるべく単独で飼育しましょう。)
野外ではそれほど激しいケンカはしないようです。
むしろ他のクワガタやカブトムシに攻撃されている姿から、「性格が温和」といわれているのではないでしょうか。
もうひとつ特徴的なのが
「臆病」
採集に行くと樹に近づいただけで、ポトリ。
なにかと思って注意深くみてみるとコクワガタ!
他にも樹皮で見つけたコクワガタを採ろうと思うと、ポトリ。
「擬死」といって危険が近づくと「死んだふり」をする習性があるんです。
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ウロにいるコクワガタは人影が近づくと奥に隠れてしまいます。
動きも意外と活発でチョコチョコと速い速度で動き回ります。
危険察知能力が高い証拠です。
それに、もうひとつ広い地域で繁栄している理由が、飛翔能力が高いこと。
広い範囲に移動できる能力のために、他のクワガタと競争せずに「ニッチ」を狙って繁殖できたんですね。
実際、他のクワガタが産卵しないような硬い登り木を削って産卵していたことがあります。
この適応能力の高さもいろんな環境で生息している理由のひとつといえるでしょう。
コクワガタを採集に行くときは捕虫網があると便利!
寿命の長さと越冬。
本土コクワガタの成虫は飼育下では、一度越冬して1~2年生きることも多いです。
ですが、野生のものでは、基本的に活動を開始したシーズン限りで寿命を迎えてしまうことが多いようです。
成虫として越冬するものは、ごく一部の個体とまだ活動を始めていない休眠個体がほとんどです。
越冬状態に入ったコクワガタも寒い冬を乗り越えられないで寿命を迎えてしまうものも多いです。
これらの成虫で越冬した個体は、気温が23℃ぐらいを超えてくる5月ごろから活動をはじめます。(一次個体発生群)
新しく羽化した個体は6月終わりごろから7月にかけて活動を始めます。(二次個体発生群)
一次発生群と二次発生群の個体同士が混ざり合う6月から7月がコクワガタの最盛期です。
一次発生と二次発生の時期が重なることで「遺伝の多様性」が保たれているんですね。
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最後に。
コクワガタは見かける機会が多いので、もしみかけたら飼育してみるのも楽しいものです。
迫力満点のオオクワガタもカッコいいけど、小さくてチョコチョコ動くコクワガタは愛嬌たっぷりでかわいいですよ。
採集もしやすく、飼育もしやすいクワガタです!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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