津本陽版の新選組「虎狼は空に」。戦う隊士たちのリアルな姿を描く!

こんにちは。ケンスケです。

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現代では、本当にたくさんの新選組関連の小説やマンガが出版されていますね。

多くの作品が新選組の「思想」とか「武士への憧れ」とか「武士道」だとか「隊士たちの友情」とか・・・を興味深く物語にしています。

ただ、これらの小説と一線を画す作品があるんです!

津本陽【虎狼は空に】上下巻

新選組を「暗殺者集団」としてとらえた物語です。

著者の津本陽は自身も剣術の達人。
武士の戦いを描くことに定評のある人物ですね。

幕末はとくに政治や思想の話がややこしい。
それより、実際の現場はどんな雰囲気で、新選組の隊士たちはどんな思いを胸に闘っていたのか。

賛否の分かれる小説ですが、私は他の小説と違うところがおもしろいと感じました。

それでは紹介していきましょう。

津本陽版の新選組「虎狼は空に」。戦う隊士たちのリアルな姿を描く!

こんな方におすすめ!
新選組マニア
武士の生き方を知りたい
現実的な戦いを読みたい
他の小説では出番の少ない隊士を知りたい

剣士たちの戦いに主眼を置いた作品

新選組の物語は幕末に反幕府の志士たちをバッタバッタと切り倒していくのが醍醐味ですね。

でも、実は攘夷の志士たちとの闘いで命を落とした隊士よりも、隊内の粛清で命を落とした対しのほうが多いともいわれています。

そんな新選組内部の事情をも詳しく描いているのが特徴。

他の小説ではあまり光の当たらなかった隊士に焦点を当ててみたり、結成当初の権力争いについて言及していたり。

そんな中で最も印象に残るのが闘いの場面。

現代の私たちの生活の中では、刀で斬り合う場面なんてありません。
マンガや小説の中で私たちが勝手に想像するだけです。

【虎狼は空に】では、登場人物たちの息遣いがわかるような巧みな表現で人が斬られます。

中には残酷だといわれてしまうような描写もあったりします。

でも、現実は斬られたら血も出るはず。
この小説を読んでいると、本当に新選組の隊士になって幕末の闘争を体験している錯覚を覚えます。

作者の狙いはそこにあるのではないかと思うのです。

他のマンガや小説にはない生々しい迫真性を感じられるのです。
実際にいた新選組の隊士たち、幕末の志士たちもこんな危険に満ちた世界で活動していたはずです。

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新選組としての物語はわかりやすく描かれている。

幕末の時代の流れ、大きな事件などは簡潔に解説されています。
だから、わかりやすいし、読みやすいんです。

もう30年以上前(1989年)に出版された作品ですが、そんな古さを感じないような文章です。

最初は、いろいろな隊士の視点で描かれていきますが、後半から土方歳三や沖田総司の目線で描かれることが多くなっていきます。

歴史上の事件についても簡単に述べられていくので、読んでいて視点の違いに戸惑うことなく、ブレずに物語を読みすすめることができました。

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思想とか心理とかじゃない「リアル」を表現

【虎狼は空に】の物語でおもしろいところは、斬り合いの場面
とにかくリアルなんです。

作者の津本陽さんも剣術をしているということもあって、真剣勝負の場面を詳細に描いています。

私も斬り合いの生々しいシーンが決して好きなわけではないんです。
でも、この作品ではそれもしっかりと描かれているのです。

で、なぜこの作品の面白いところが生々しい場面かというと、

リアリティ!

他の作品では隊士どうしの友情や戦うための大義名分、思想の確執などが物語の主軸となっていますね。

それも充分おもしろいです。

ただこの作品ではリアリティを演出することで、読者は小説の世界に臨場感をもって引き込まれるのです!

新選組の闘いの多くが「粛清」(しゅくせい)[=不正・反対派を取り除くこと]だということもあり、かなり好き嫌いが分かれそうです。

この作品に一貫しているのは、新選組=暗殺者集団という図式

【虎狼は空に】を読んでいると幕末のリアリティにあふれる時代にタイムスリップしている気分になるんです。

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物語の疾走感に惹かれる!

新選組としての活動は約5年間。
これを上巻下巻2冊、長編です。

ただし新選組の5年間は、

濃い!

次から次へと問題が出てきて、新選組隊士たちは大忙しなんです。

尊王志士たちとの闘い。
新選組内部での権力争いや局中法度
幕府や会津藩との折衝
身分の壁
有力大名との政治的かけひき

いろいろな要素が絡み合いながら時代は流れています。
すると、どうしても小説の多くの部分が「説明的」になりがちですよね。

でも【虎狼は空に】では、極力説明は少なくなっているので、ほとんど物語の本筋から離れずに読み進められるのがすばらしいのです。

流れるように話が進んでいくので、長い小説ですが全く間延びせずにスイスイと読めてしまいますよ。

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最後に。

高幡不動の正門前にある新選組隊士の句碑

私はこれまでに新選組の小説をいくつも読んできました。
なんとなくですが、自分の中で「古い小説」と「新しい小説」に分けていたのですが、【虎狼は空に】は古い小説です。

ですが、読んでみると、

全然古くない!

むしろ幕末の時代のリアリティに触れる!という意味では、とても新しい感覚に陥ります。

当時の新選組隊士たちが現場で体験する緊迫感や恐怖感を、その場で体験しているような錯覚になるのです。

他にもみどころはたくさんあります。

とくに沖田総司のエピソードは、他の小説では描かれていないような物語になっています。

読みだしたらあっという間に終盤になるぐらい夢中に読めますよ。
ぜひ読んでみてください。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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