こんにちは。ケンスケです。
カブトムシを飼育していて、
無事に蛹になったぁ~!!!
と喜んでいたのもつかの間。
羽がうまく閉じられない!
羽がゆがんでしまった!
角が曲がってしまった!
羽の形がおかしい(くぼみやへこみ)!
ってこともよくあります。
私もよくあります!
これらは
羽化不全
といって、多くはカブトムシが蛹になっているときの環境によって起こってしまうんです。
多少の羽化不全であれば、成育や繁殖には大きく問題はありませんが、できればあのカッコいい姿を見てみたいですよね。
『【カブトムシ】の羽化!失敗しないために。知っておきたい原因と対策!』
振動や衝撃・傾きなど外力によるもの
蛹室の形(多頭飼育やマットの量・深さ)
カビ・キノコ・木片などの異物
乾燥や多湿によるマットの状態
累代(何代も子ども同士をかけ合わせる)
特発性(原因不明)
適切な温度管理
マットの状態(深さ・量・湿度・清潔)
安静を保つ
飼育密度を小さくする
羽化した個体は別にする
それでは、ひとつずつ解説していきましょう。
少し文章が長くなってしまいましたが、大事な時期ですので読んでみてくださいね。
蛹になる時期はだいたい5月に入ってから。
飼育している地域によりますが、気温20℃以上が安定してくると前蛹から蛹になり始めます。
それが、
だいたい5月初めから中旬ごろ。
温かい温度で管理している方は4月に蛹になっていることもあります。
蛹の時期は非常にデリケートなので、マット交換は禁物です。
なるべく4月後半には最後のマット交換を済ませておきましょう。
春のマット交換についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒カブトムシ幼虫飼育。春が来たらやっておくこと。大きな成虫に育てよう!
最後のマット交換が終わるといよいよ蛹室を作り始めます。
蛹室を壊してしまうと羽化不全が起こりやすいので注意しましょう。
⇒【カブトムシの蛹(サナギ)】5月・6月の飼育管理とトラブルの対処法!
カブトムシの蛹が羽化する時期は6~7月がピーク。
カブトムシが蛹になって羽化(蛹から成虫になる)までは、
約1か月!
蛹でいる期間も温度によってだいぶ変わります。
温度が高いと約1か月。
温度が低いと1か月以上。
26℃で温度管理をすると26日前後で羽化しますよ!
温度以外だとメスや小型のオスは、大きなオスよりも羽化までの期間が短い傾向にあります。
※屋外の日の当たらない場所や野生のカブトムシは、室内飼育に比べて蛹の期間が少し長くなります。
たま~に、気の早いカブトムシは5月中に羽化していたりしますね。遅いものだと7月終わりごろになってようやく羽化するものもいます。
2019年5月31日に野外で見つけたカブトムシ
羽化するタイミングが見られたらラッキー!
カブトムシは蛹室(蛹がある空洞)をマットの中に作って、その中で羽化します。
なので、
基本的に羽化する場面は見ることができません。
ただし、
土の上で蛹になってしまったり、マット交換などで蛹室を壊してしまったときには、「人工蛹室」で管理します。
人口蛹室の作り方
⇒【カブトムシの蛹(サナギ)】5月・6月の飼育管理とトラブルの対処法!
そんな時は、カブトムシの蛹化&羽化を見られるチャンス!
透明な容器で観察しやすくしてみましょう。
(そう、これがピンチをチャンスに変える!ってやつです。)
飼育ケースの側面に蛹室がある場合も羽化を観察するチャンスかもしれませんね。
でも、いつ羽化が始まるのかはわかりません。
1か月間ず━━━━━━━━っと張り付いてみているわけにもいかないですよね。
蛹の羽化が近くなったときの特徴を覚えておくといいです。
白っぽい(クリーム色っぽい)
↓
オレンジ
↓
茶色
↓
少ししぼんでくる(しわが出てくる)
↓
羽化!!!
しぼんでしわが出てくるともう1日か二日くらいで羽化してきます。動かしたり、揺らしたりしないよう静かに見守りましょう。
羽化直後は触らないこと!
カブトムシが無事に羽化に成功したら、そのまま安静にすることが大事です。
羽化直後はまだ前羽(カブトムシの硬い方の羽)も柔らかく、変形しやすいためです。
身体がやわらかい時期に振動や衝撃、傾きなどがあるとまだ動けないカブトムシが蛹室の壁に押し付けられて、羽が閉じなくなったり、角が折れ曲がったりしてしまいます。
羽化したカブトムシの色は
白
↓
赤っぽい
↓
茶・黒
のように変化します。
カブトムシ本来の茶色や黒になってくると羽も少しずつ固まり始めます。羽が固まるまでは、だいたい1週間くらいかかります。
それまでは、蛹室の中で寝返りをうつように時々回転している様子もみられますが、ほぼジッとしています。
成虫の色が安定してくると次は蛹室から脱出して地上へ出てきます。人口蛹室の場合は、中でもがいて出ようとしていたら外に出してあげましょう。
地上に出ても羽化して間もないうちは動きも鈍く、エサもあまり食べません。身体の器官がまだしっかりできていないのかもしれませんね。
時々ひっくり返ってジッとしていることもあります。心配になってしまいますが、あお向けになって腹側を乾かしています。
枝木などつかまれるものを近くに置いて起き上がれるようにしておきます。
ただ、いつエサを食べ始めてもいいように昆虫ゼリーは入れておきます。
エサを食べ始めるまでは、オスメスは別にしておいた方が無難です。(わが家は一緒にしてしまっていますが・・・。)
メスが成熟していないのに、オスが交尾をしようとしてしまうためです。
〇身体がまだできていないので振動・衝撃・傾きはダメ。
〇自分で蛹室から出るまで待つ。
〇地上に出てからも動きは鈍い。
〇ゼリーや起き上がり用の枝木を用意。
〇多頭飼育の場合は地上に出てきたものから別に移す。
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羽化不全の原因
ほとんどの原因は「蛹室」に関係するものです。5月ごろからは注意が必要ですね。
振動や衝撃・傾きなど外力によるもの
蛹室の形(多頭飼育やマットの量・深さ)
カビ・キノコ・木片などの異物
乾燥や多湿によるマットの状態
累代(何代も子ども同士をかけ合わせる)
特発性(原因不明)
それではひとつずつ説明していきます。
振動や衝撃・傾きなど外力によるもの
振動や衝撃によって蛹室自体が壊れてしまうと羽化不全の可能性が高まります。
蛹室の形(多頭飼育やマットの量・深さ)
飼育密度が高すぎる、マットの量が不足している、深さが足りない
、といった原因で蛹室がうまく作れなかった場合、蛹の段階または羽化直後に身体が変形してしまうことがあります。
多頭飼育では蛹室が近いところに密集しやすい性質があるんです。
ということは、羽化して動き出す個体とまだ蛹の個体が「密」になっている可能性が高いってことです。
羽化する時期にタイムラグがあると成長の早い個体が他の蛹室を壊してしまうことがあるんですね。
カビ・キノコ・木片などの異物
マットによっては、蛹室内の空洞にカビ・キノコが発生してしまうことがあります。そうすると柔らかい蛹や羽化直後はその影響で変形しやすくなります。
蛹や成虫の体が変形してしまうと最悪、そのまま★になってしまうこともあります。とくにカビは要注意です。
カビの原因はマットの劣化と加湿しすぎによるものです。
マットを長期間使っていると雑菌が発生しやすくなります。カブトムシも雑菌に対する免疫はありますが、あまりに多すぎると負けてしまいます。とくにカビは真菌。
カビは手強いです。私もノコギリクワガタの蛹がカビにまかれているのをずいぶん経験しました。
⇒ノコギリクワガタ。無事に羽化に成功!の陰で半分は失敗かも!
最後のマット交換に全て新しいものに交換するのをお勧めするのはこのためです。
乾燥や多湿によるマットの状態
蛹室はカブトムシの幼虫が体液やフンで周囲のマットを固めますが、乾燥しすぎると崩れることがあります。
反対に加湿をしすぎると、蛹室内に水たまりができてしまったり、カビが生えやすくなったりします。
難しいですよね。
私は、4月の最後のマット交換のあとはほとんど加湿しません。容器に深さをもつことで下部の湿度を保つことにしています。
上部2~3㎝は乾燥しても下の方は渇いていないことが多いです。
多湿と乾燥で怖いのは多湿のほう。
初めての方は、「少し乾燥気味かな」と思うくらいの方が安心です。
累代(何代も子ども同士をかけ合わせる)
カブトムシやクワガタは累代飼育に強いといわれています。
ベテランの方たちは累代を重ねて大きさ競っていたりします。
ただ、やっぱり累代飼育を長年続けていると羽化不全や奇形の割合も増えてくることが考えられます。
野外で採集したものなら考える必要ありませんが、自家繁殖でもらったものは累代を重ねている可能性もあります。
自分で繁殖させたものは友達と交換し合ったりして違う血を入れるのもいいかもしれませんね。
特発性(原因不明)
どんなに注意して対策をしても一定の割合で羽化不全や病気、突然死の個体はでます。生き物を飼育する上では仕方ないことなのかもしれません。
飼育しているカブトムシが無事に成長してほしいのが本心ですが、全部が無事に羽化できるわけではないことも頭に入れておきたいですね。
羽化不全の対策
適切な温度管理
マットの状態(深さ・量・湿度・清潔)
安静を保つ
飼育密度を小さくする
羽化した個体は別にする
適切な温度管理
室内でも日の当たる場所に置いておくと、5月~6月はかなりの高温になります。日当たりには充分注意しましょう。
マットの状態(深さ・量・湿度・清潔)
マットは少し乾燥気味を意識して、深さは15㎝以上。
「できれば」ですが、4月のマット交換は新しいものが望ましいです。
さらに!
4月(春)のマット交換時は、
少し硬めに詰めてあげる!
ことがポイントです。
マットが柔らかすぎると幼虫はうまく蛹室を作れなかったり、崩れてしまうリスクがあります。そこで、蛹室をつくりやすいように硬めにしてあげましょう。
もうひとつ!
大きな木クズや繊維のかたまりは取り除く!
こちらも蛹室をうまく作るための手助けのためですね。
安静を保つ
蛹室を壊さないため。蛹(サナギ)の中身はドロドロ。羽化直後はやわらかい。
ってことは、
なるべく動かさない!
それが~いちばん大事♪
飼育密度を小さくする
「安静が大事」ってことは、カブトムシ同士の干渉も避けたいところですよね。
できるなら単独飼育。しょうがない場合でも大きい容器で飼育したいところです。
羽化した個体は別にする
これも成長の遅い個体を安静にさせるためです。
最後に。
羽化不全は、だれでも起こり得ます。ある程度は仕方ないことです。羽化不全してしまった個体でも軽い程度であれば、育成や繁殖にほとんど問題ない場合が多いです。
もちろんここまで育て上げた大切なカブトムシ。
こんなことはないとは思いますが、「変形、奇形の個体を野外に放してしまった。」なんてことがないように最後まで責任をもって面倒をみてくださいね。
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こんな商品も見つけました。
少し値段が高いですが、これを参考に人口蛹室をオアシスで作ってみるのもいいかもしれません。(国産カブトムシは蛹室をタテに作るので縦て使いましょう。)
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